ロッテ・和中広報 ダウンタウン浜ちゃんの耳打ちに驚き…吉本興業マネジャーから異色の転身

[ 2021年1月24日 07:00 ]

吉本興業から転職し、ロッテに入団した和中広報
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 本格的な「ウィズ・コロナ」のシーズンとなる2021年のプロ野球。すでに今春キャンプも無観客でのスタートが決まっている。ステイホームを心掛けるファンに向けた選手情報の発信という役割を担う重要セクションが広報部。ロッテには今年から元吉本興業でダウンタウン・浜田雅功ら大物芸人を担当した経験もある和中一真氏(28)が加入した。異色の経歴を生かして奮闘する広報マンたちにスポットを当てる。

 ロッテに異色の経歴の「広報マン」が誕生した。今月、広報に就任した和中氏は昨年末までお笑いを中心とする芸能事務所「吉本興業」に勤務。ダウンタウン、トータルテンボスら数々の有名芸人のマネジャーを務めた。

 2015年に入社した古巣での業務は芸人のスケジュール管理、ギャラ交渉など多岐にわたった。「シンプルに楽しかった」という5年9カ月のマネジャー生活。6年目の昨春からチーフに昇格したが、それまではダウンタウン、特に浜田雅功との行動が多かった。

 思い出は入社3カ月目の出来事。収録前の前室で浜田から「現場の立ち位置は分かるか?」と耳打ちされた。「自分に気を使っているのは分かるけど、それが他の演者さんに伝わると周囲がおまえにまで気を使う。必要なときは呼ぶから」。マネジャーとして発言を聞き逃さないよう収録中も距離が無意識に近くなっていた。誰もいない場所で一瞬の耳打ち。「新人のそんなところまで見ている。凄い人だな」と驚いた。

 大引啓次(元ヤクルト)、近藤大亮(オリックス)らを輩出した浪速高出身の元球児。投手としてプレーしたが最後までレギュラーになれなかった。それでも仲間の練習を手伝いながら助言も送り「自分は裏方の方が向いているのかな」と感じた。だから夢を追う芸人らをサポートする業務も性に合っていた。

 転機は2年前のプロ野球開幕日。19年3月29日にZOZOマリンで行われたロッテ―楽天戦を観戦した。少年時代は近鉄ファンで「関東の球場が初めて。ロッテファンの応援を見て、もう一度、裏方で野球に携わりたいと思った」と振り返る。その後、ロッテファンで有名なトータルテンボス・藤田憲右の始球式に同行したこともあった。不思議な縁が続き、転職を決意した。

 野球の魅力を発信できる立場となった。「野球人口の減少を止め、女性ファンも増やしたい」と夢も持つ。浜田には最初に退社を報告した。「広報なら(MCを務めるフジテレビ系列番組)ジャンクSPORTSに選手を連れて来るやろう」と激励された。今オフ、日本一になった選手を連れていけば、最高の恩返しとなる。

 コロナ下での再出発だが、前職の経験は必ず生きるはず。ソーシャルディスタンスが叫ばれる中、選手とファンの距離は離さない。(横市 勇)

 《スポーツとエンタメの融合 新時代到来》ロッテの広報室を束ねる梶原紀章室長自身も元スポーツ紙記者で阪神担当も務めた経歴を持つ。チームが日本一に輝いた05年に入団し、今年で17年目。「次世代にバトンタッチできる人材を探していた」という同氏は「僕はある程度、スポーツの知識と人脈を持っていたが、彼は吉本興業でエンタメの方に人脈を持っている。プロ野球なので(広報も)スポーツとエンタメを融合したものにしたかった」と和中氏の採用理由を明かした。ともに元選手の手嶌智広報、阿部和成広報を含め、多様な人材で構成された広報体制でコロナ下も乗り越える。

 ≪キャンプ行けないファンのために新たなサービス模索する各球団 中心に広報部の存在≫今月20日に沖縄でキャンプを行う8球団が県独自の緊急事態宣言を発令した沖縄県の要請を受け当面は無観客で行うことを発表。すでに無観客が決まっていた宮崎も含め全12球団が無観客でキャンプインすることが決まった。それでも各球団は広報部が中心となって球場に来られないファンを楽しませるための新たなサービスを検討中。ヤクルトは選手の「ホテル時間」などプライベートに近い姿の動画配信を検討し、阪神も矢野監督が「僕たちも発信、アイデアを出していきたい」と語るなど積極的に情報を発信する方針だ。

 ◆和中 一真(わなか・かずま)1992年(平4)5月6日生まれ、大阪府出身の28歳。小学4年から野球を始め、高校は甲子園で春2度出場の浪速で投手も、ベンチ入りはなし。大阪の私学大会で2学年下の大阪桐蔭・沢田圭佑(現オリックス)に代打で起用され、空振り三振に倒れた経験がある。1学年上にはオリックス・近藤大亮がいた。龍谷大を卒業後に吉本興業に入社し、今年からロッテ。1メートル79、80キロ。

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2021年1月24日のニュース