桑田真澄氏は努力家で探究心と好奇心の塊 赤ワイン、葉巻、古武術にハマった

[ 2021年1月12日 05:45 ]

桑田真澄氏
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 努力家で探究心や好奇心が旺盛。桑田真澄はそんな男だ。1995年に右肘じん帯再建手術(通称トミー・ジョン)をすると、リハビリの一環として指先の鍛錬を目的にピアノを弾き始めた。お酒を飲まなかった桑田さんだが、右肘の手術以来「体にいい」との理由から赤ワインをたしなむようにもなった。

 何度か食事に誘ってもらった。年代ものの赤ワインを飲みながら、「しゃく熱の太陽の味がしないかい?」と聞かれた。安物のワインしか飲んだことがなく、味は全く分からない。ただ、そうとも言えず、うなずきながら「桑田さんは詩人のようですね」と言ってごました。シガー(葉巻)にも凝ったことがあった。私を含めた数人の記者はたばこと同じように吸ってしまい、思い切り咳き込んだ。桑田さんはその姿を見て「吸うんじゃなくて、ふかすの」と言って大笑いしていた。いい思い出だ。ピアノは「イマジン」「サウンド・オブ・サイレンス」など名曲を弾き、09年には「ソムリエ・ドヌール(名誉ソムリエ)」に就任していた。

 古武術に凝ったこともあった。無駄な動きを省いた日本古来の武術を学び、02年に体をひねらないゆったりした投球フォームに改造。12勝を挙げ、最優秀防御率のタイトルを獲得した。さらに中国拳法も学び「古武術はゆったりした動きで最後に力を入れるけど、中国拳法は体がいかに動くか、反応できるかが大切なんです」と話していた。04年は日本舞踊にも挑戦していた。

 現役終盤は打たれた試合が多く、赤ワインを飲みながら遠くを見つめてよく言っていた。「もう一度、アウトローに糸を引くストレートを投げたいんだよ」。投手の原点である外角低めの直球。桑田さんはそこに切れのあるボールを投げられたからPL学園時代は甲子園で活躍し、巨人でもエースになれた。好調時は「リリースの瞬間からミットに収まるまでのボールの軌道が白い線で描けた」と言っていた。スピードを追い求め、変化球を増やすことも必要だが、基本を磨くことはもっと大事なこと。巨人の若手投手陣にもそういう指導をすると思っている。(飯塚 荒太)

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2021年1月12日のニュース