田口壮の年俸調停権1年目、時には怒鳴り合いも…交渉に関わった日本人代理人が語る

[ 2021年1月12日 05:30 ]

アラン・ニーロ代理人
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 06年オフ、年俸調停権1年目の田口壮外野手(当時カージナルス)の交渉にアラン・ニーロ代理人とともに関わったオクタゴン社の代理人・長谷川嘉宣氏(43)が、当時を振り返った。

 「希望額の差が10万ドル(約1040万円)程度でも交渉は熱を帯びたものになる。一度シカゴで、ニーロ代理人とジョン・モゼリアクGM補佐(現GM)が怒鳴り合いになったことを覚えています」

 田口は貴重なバイプレーヤーとして06年の世界一に貢献。代理人サイドは比較対象として、同じく調停権1年目だった03年ドジャースのデーブ・ロバーツ外野手(現ド軍監督)ら、似た成績の選手の昇給例を5~10人分も挙げた。

 さらに、数字に表れない勝利への貢献度も訴えた。カージナルスがメッツと激突したナ・リーグ優勝決定シリーズ。長谷川氏は「田口さんは第2戦で(抑えの)ビリー・ワグナーから9回に決勝本塁打を打ち、第6戦の9回に再びワグナーから二塁打。おかげで第7戦、メッツは9回のワグナー起用を諦め、結果、モリーナが他の投手から決勝本塁打を打った。その貢献度を主張したことを覚えています」と回顧。田口がリーグ制覇を大きく引き寄せた、という主張だ。

 「“公聴会になったらうちが勝つ”と互いに一歩も譲らなかった」と長谷川氏。最終的に07年1月10日過ぎ、調停を回避して10万ドル増の92万5000ドル(約9620万円)で合意した。さらに10万ドルのバイアウト(契約解除金)、打席数に応じた出来高も勝ち取るなど、田口にとって満足のいく内容となった。

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2021年1月12日のニュース