ソフトバンク ドラ4位川原田 18歳とは思えない…漂うシブく、落ち着いた雰囲気

[ 2021年1月12日 09:30 ]

仏教の教えの書いた色紙を手に入寮した、ドラフト4位の川原田(撮影・中村 達也)
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 確かに、分からなかった。漢文を調べたのは高校以来。「おまえ、記者になれ」と不意に古典の和田先生に現職を勧められたのも思い出された。ソフトバンクにドラフト4位で入団した川原田(かわらだ)純平内野手(18=青森山田)が12月7日、筑後ファーム施設内の選手寮に「渓声山色(けいせいさんしょく)」と書かれた色紙を持って入寮。何か奥が深かった。

 川原田の実家、岩手県花巻市の近所にある曹洞禅寺の「宗青寺(そうせいじ)」にもらった中国北宋の詩人「蘇東坡(そとうば)」による漢詩が書かれていた。同寺とは以前から交流があり、プロ入り後に激励を込めて贈られたもの。ただ「貴重なものなんですがまだ意味は分からないんです」と照れていた。

 渓声便是広長舌(渓声すなわちこれこうちょうぜつ)

 山色無非清浄身(山色清浄身にあらざること無し)

 意味としては「谷川のせせらぎは仏の説法の声、山のたたずまいは清浄な仏のすがた」とのことらしい。何となく伝わるが納得するまでは、分からない。とりあえず黙って落ち着いておけ、ということか。

 川原田は今宮健太に憧れる将来の正遊撃手候補。1メートル70、72キロと小柄だが堅守と勝負所の打席での集中力が高い評価を受けている。座禅で培った集中力かどうかは、いずれ聞こうと思っているが、18歳とは思えないほど、シブく、落ち着いた雰囲気を漂わせている。

 好きな言葉は「一日一善」で、トイレのスリッパを並べるなど1日1回は善行を行うという。球団広報のアンケートによると、長所は「温厚で広い心を持っていること」。「物欲は無し」。契約金の使い道は「貯金」。漢詩同様に、人間性も気になってくる存在だ。

 4年連続日本一球団に加わる今季の支配下選手はオール高校生。将来性を期待されている。「焦らず、1日1日、プロとして色々と学びたいです」。川原田が醸し出す妙な境地と空間。この先も追いたくなっている。(記者コラム・井上満夫)

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2021年1月12日のニュース