菅野のメジャー移籍を妨げたポスティング期間 ここ数年の米移籍市場停滞で30日間を見直すべき

[ 2021年1月9日 14:11 ]

巨人・菅野
Photo By 代表撮影

 巨人・菅野のメジャー移籍を妨げたのは、コロナ禍であることは言うまでもない。今オフは新型コロナウイルスの影響による大リーグ各球団の経営難もあり、移籍市場が停滞。菅野も「新型コロナウイルスの影響が深刻化する中で大リーグの動向などを見極めた結果、今季も巨人でプレーしようという結論に至った」と話している。

 さらにネックになったのが、ポスティングシステムの期間だ。同制度は大リーグ全30球団に通知されてから30日間の交渉期間が設けられる。例年の申請期間は11月1日~12月5日だが、今年はコロナ禍で試合日程が変則となったため、1週間遅くなった。それでも、菅野の交渉期限は米東部時間1月7日午後5時(日本時間8日午前7時)。移籍市場が停滞しているこの状況下では、あまりにも時間が足りなかった。

 菅野と同じ代理人で日本ハムから同制度を利用した有原はレンジャーズに移籍した。ただ、2年総額620万ドル(約6億4000万円)というリーズナブルな契約内容。一方で、同じ日本ハムで外野手の西川は契約がまとまらなかった。菅野となれば、4年総額40~50億円という大型契約が必要。ヤンキースからFAになった田中も移籍先が決まっていない。メジャーで通算75勝の実績があり、移籍市場でサイ・ヤング賞右腕バウアー(レッズからFA)に次ぐ右腕でさえ交渉は難航しており、停滞している現状を物語っている。

 そもそも、コロナ禍の影響を受ける以前からメジャーの移籍市場の動きは遅くなっていた。年々、選手の年俸が高騰し、代理人交渉がそれに拍車をかける。結果、春季キャンプまでに契約がまとまらない大物選手が続出。今オフはコロナ禍でさらに停滞させている。

 そうした現状を踏まえれば、30日間というポスティングの期間を見直したほうがいい時期に来たと感じる。もちろん、保有権を持つ日本球団の編成面を考慮しなければならず、あまり遅くはできない。せめて10日もしくは20日間。菅野サイドももう少し時間があれば、大リーグ球団との交渉で「妥協点」を見いだせたかもしれない。

 「今シーズン後に改めて自分の夢、将来を考えたい」。そう話した菅野は今年のオフに海外FA権を取得する。ポスティングのような交渉期間に縛られず、巨人への譲渡金もない。ただ、1年歳を取って32歳になり、契約年数で難航することも考えられる。(記者コラム・飯塚 荒太) 

続きを表示

2021年1月9日のニュース