阪神・藤浪は先発で! 矢野監督が来季構想明かす ダル流縦スラの習得を注文

[ 2020年11月17日 05:30 ]

<阪神練習>   藤浪のサングラスに暎る練習風景   (撮影・成瀬 徹)  
Photo By スポニチ

 阪神の矢野燿大監督(51)が秋季練習第1クール2日目の16日、藤浪晋太郎投手(26)を来季は先発として起用する方針を明かした。今季は先発で11試合、中継ぎとして13試合。来季は“定位置”での完全復活を期待してダルビッシュ級の“縦スラ”習得を指令した。V奪回へのカギを握る若き右腕の新たな挑戦に注目だ。

 雪辱を誓う来季へ向けて本格的に動き出した。今シーズン終了からわずか5日。矢野監督は早くも来季構想の一端を明かした。

 「(藤浪は)チームのバランス的に考えても、今の時点では先発の方が、どっちのためにもなるのかなと思っている」

 期待度の高さを物語る発言だった。コロナ禍で出遅れた今季。初登板は7月23日までずれ込み、広島戦での6回4失点で黒星スタートを切った。同戦から先発として4連敗。その後も本来の姿は影を潜めたが、9月26日ヤクルト戦からの中継ぎ転向で光が差した。10月19日ヤクルト戦では自己最速、球団最速となる162キロを計測。シーズン終盤には再び先発を任され、3試合で計1失点と手応えをつかんだ。

 「いい状態で、この秋も練習に入れている。先発で勝っていたときのようなものになれば、チームも助かる」

 これまでのプロ8年間で先発として51勝を挙げた。この実績が証明するように、ローテーションでフル回転するのが理想。その座を確かなモノとするべく、指揮官が新たに要求したのは“縦スラ”の習得だった。

 「基本は真っすぐなんだけど、スライダーももう少し縦の方がいいと思っている」

 従来の藤浪のスライダーは横に曲がるタイプだが、縦に落ちる軌道にはさまざまな相乗効果があるという。

 「横に流れるのは抜けたり引っ掛かったりの幅がデカくなる。(縦なら)ベースの幅の中で空振りも取れるし、バッターも見極めにくい。で、肘も上がって、真っすぐも縦に来る。フォークも叩きやすくなる。斜めに投げたら全部良くなる」

 指揮官が理想に掲げたのは、カブスのダルビッシュ。精度の高さを、打者目線から説明する。「(ダルビッシュのは)カーブっぽいんだけどこう最後斜めにというか、こう縦に落ちるでしょ。あれは右でも左でも見極めにくい」。今季の奪三振数は76回でナ・リーグ4位の93個。藤浪は76回1/3で85個だった。

 元々高い奪三振率に新球が加われば、来季躍進は言わずもがなだろう。雌伏の時を乗り越え、大黒柱として投手陣をけん引する。(山本 浩之)

 ▽ダルビッシュのスライダー 11種類あると言われる球種の中でも代表的なもので、自己最多277奪三振の13年にも最も頼りにしていた決め球。「大きく曲がる」と評される軌道は19年のデータで縦変化が101センチ(メジャー平均94センチ)、横変化が42センチ(同15センチ)とメジャーの平均値を大幅に上回る。

続きを表示

この記事のフォト

2020年11月17日のニュース