ソフトバンク 5位指名の履正社・田上にあいさつ、将来像は台湾のレジェンド「160キロ出したい」

[ 2020年11月2日 15:57 ]

ソフトバンクの指名あいさつを受けた履正社・田上と(左から)稲嶺スカウト、福山アマスカウトチーフ、右は永井編成・育成部長兼スカウト室長
Photo By スポニチ

 ソフトバンクは2日、永井智浩編成・育成部長兼スカウト室長(45)、福山龍太郎アマスカウトチーフ(44)、稲嶺誉スカウト(40)が大阪市豊中市の履正社高を訪問。ドラフト5位指名した田上奏大投手(17)に指名あいさつを行った。高校3年間で公式戦未登板ながら、練習試合で最速151キロを計測した右腕の潜在能力を高く評価。福山チーフは「台湾のレジェンド」の名を挙げ、将来への大きな期待を示した。

 田上の将来像を問われたチーフは「郭泰源さん」とイメージを膨らませた。台湾出身の同氏は西武で1985年から13年間プレー。117勝18セーブを記録し、黄金時代の中心戦力となった。相手をねじ伏せる豪球が最大の武器で、異名は「オリエンタル・エクスプレス」。同氏と異なり、アマ時代に投手としての実績がないに等しい田上だが、球団は大投手になりうる資質を見いだした。

 「ベース板での強さが違う。想像を超える球を投げるし、リーチが長く回転も大きい。原石なので、我々ならではの獲得」

 数多くの育成契約選手を1軍戦力に育て上げるなど、原石を磨き上げる力に自信を持つだけに「時間をしっかりとかけたい。育成環境の整っている我が球団だし、チャレンジしていこうとなった」と獲得の理由を話した。

 田上は新型コロナウイルス感染拡大による全体練習の自粛が明けた6月から本格的に投手に挑戦。中学までは投手経験があるが、高校では公式戦登板はなく、練習試合も「10回か9回くらい」の投球イニング。投じたのは、ほぼ直球だった。担当の稲嶺スカウトも投球を見ることができたのは練習試合の2試合、計4イニングで、報告を受けた福山チーフの直接視察は練習でのブルペン投球1度きり。だが、その1回があまりにもインパクトが強かった。

 「スカウトを長年やってきたが、衝撃を受けるほどの球だった。今年の高校生の中ではトップランク。この世界、抜きんでた才能(を持つ選手)には誰も勝てない。その可能性のある選手。ロマンを感じた」

 ソフトバンクは高い総合力を持ちつつ、一芸に秀でた選手が主力を張る。千賀の「お化けフォーク」に甲斐の「強肩」。そして13試合連続盗塁を決めた周東の「足」など個性派がそろう。球団は田上の「球速&強さ」も将来的に肩を並べる可能性があると踏んだ。チーフは「ファンをアッと驚かせたい。想像を超えるような“何だこの投手”という声が出てきて欲しい。ファンを魅了する投手になって欲しいし、その原石」と話した。

 田上は「実感が湧いてきました。すごい環境ですし、ワクワクしています」と思いをはせた。叔父の元中日、ソフトバンクの田上秀則氏(現大産大付監督)からはドラフト指名当日に連絡をもらい「ここから、頑張れ」と激励を受けた。「1軍で投げられる頃には160キロを出したい。3、4年後には1軍の投手陣の中に入り、活躍したい」と目を輝かせる。生まれた頃にはすでに、郭泰源氏は引退しており、現役時代の投球は知らない。ただ見る者にロマンを感じさせる投球は共通項。潜在能力抜群の原石が「エクスプレス」へと成長を遂げる。

続きを表示

2020年11月2日のニュース