牛島和彦氏 5試合連発のDeNA・佐野 投手・牛島ならばどう対戦していくか インコースのさばきが抜群

[ 2020年10月16日 22:53 ]

セ・リーグ   DeNA2―1巨人 ( 2020年10月16日    横浜 )

<D・巨>8回無死、大江(左)から球団記録の5試合連続となる同点弾を放つ佐野(撮影・木村 揚輔)
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 【牛島和彦 視点】佐野が5試合連続本塁打したボールは、見逃せばボールではないかと思うぐらい内角の厳しいコースだった。それを初球から見事に捉えた。積極性、思い切りの良さと、内角球を力強くさばける技術が詰まった一振りだった。

 救援した大江は、球種的には直球からスライダーのどちらか。1/2ではれる。インサイドに来るかどうかは別として、早いカウントなので思い切ったことができる。それがうまくはまったのではないか。

 インコースをさばけるので左投手を苦にしないし、打席で余裕が出てきている。投手目線で見ると、ボール球をあまり振ってくれないので攻めにくい。崩そうとしても、あまり前に身体が出てこない。

 この日は第1打席、落ちるフォークボールを2つ空振りしていた。私が対戦するならば、フォークをいいところに投げれば振ってくれると仮定して、どうカウントを取っていくかを考える。どのコースならファウルにしてくれるのか、ここなら手を出さないのか、探していく。決め球のフォークは一球で仕留めないといけない。少しでもボール先行になると苦しくなる。

 両先発投手は利き腕こそ違うが、フォークを軸にして立ち上がりがスムーズにいき、試合にうまく入っていった。ともに最近勝ててなく、高い集中力を持って臨んだと思う。

 3回に先頭の8番打者に二塁打され、無死二塁のピンチを切り抜けた、というのも共通点。ともに9番の投手に送りバントされ1死三塁となったが、無失点でいけた。無死二塁から無失点というのは、意図した抑え方ができていた証拠で、これで乗っていき投手戦となった。

 井納は丸には徹底的に内角カットボール、岡本にはフォークなど、各打者ごとに攻め方を大胆に変え、バッテリーで巨人打線への対策、研究ができていた。

 今村は何と言っても真っすぐ。腕がよく振れてオースティンから2つ空振りも奪うなど、相手打者が差し込まれていた。なのでフォークが生きた。前回登板はフォークに頼りきりで変化球が多かった。相手打線に絞らせないためにも、やはり真っすぐが良くないといけないし、それが投球の基本になってくる。

 9回無死三塁のピンチから無失点で抑えた三嶋は、マウンドで落ち着いていた。絶対に三振が欲しい場面で、大城、立岡とフォークで2者連続空振り三振。最後の吉川尚は三振にこだわる必要はなかったが、直球2つで追い込み、前2打者と同じようにここでフォークかなと思わせる場面で、内角へ153キロ直球を投げ込み見逃し三振に仕留めた。相手の裏をかく大胆さが、3三振全てにあった。早いカウントで追い込めていたので大胆にいけたし、その裏返しで打者はいろいろと考えさせられてしまう。カウントから生まれる有利、不利が重要だと改めて思わせた。(本紙評論家)

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2020年10月16日のニュース