【阪神ドラフト戦略・投手編】早大・早川、トヨタ自動車・栗林…補強ポイントは先発左腕と「ポスト藤川」

[ 2020年9月29日 06:00 ]

早大・早川
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 10月26日のドラフト会議に向け、スポニチ大阪本社では阪神の野手陣、投手陣の年齢分布(外国人、育成選手は除く)を一覧表にまとめ、それぞれの補強ポイントを分析。最適と考えるドラフト1位選手を探り出す。本日は「投手編」。阪神に必要な新戦力は先発左腕と「ポスト藤川」を担えるセットアッパーで、その筆頭候補となる即戦力投手は左の早大・早川隆久、右のトヨタ自動車・栗林良吏両投手と見る。

 阪神投手陣の年齢分布表をひと目見れば、補強ポイントは把握できるはずだ。日本人投手31人のうち左腕わずか8人。特に阪神が必要とするのは先発左腕だ。本来ならば先発要員の岩貞が今季途中からセットアッパーに配置転換され、現状、先発ローテーション左腕は高橋のみ。来季以降を見据えるなら少なくとも、もう一枚、先発左腕がほしい。理想は20~25歳の即戦力で、その筆頭候補に挙がるのは、早大・早川だ。

 1メートル80、80キロの均整の取れた体格から、最速155キロの力強い直球を繰り出す本格派左腕。9月13日の社会人・東京六大学対抗戦で日立製作所相手に5回10奪三振、同19日のリーグ戦・明大戦で17奪三振1失点完投などスカウトが集結したアピール機会で、改めてその実力を誇示した。カットボール、スライダーも切れ味抜群と完成度が高く、リーグ戦では投球回を優に上回る奪三振率を誇るアマチュアNo・1左腕だ。

 実績、経験も申し分ない。木更津総合では2年春、3年春夏と甲子園に出場。3年時に高校日本代表に選出されアジア選手権優勝にも貢献した。早大でも1年春からリーグ戦に登板し3年時には侍ジャパン大学代表入りし日米大学野球で2試合に先発し、防御率0・00と米国代表を圧倒した。1年目から先発ローテーションの一角として、十分に計算できる逸材だ。

 早川以外にも今年の左腕では最速150キロのENEOS・藤井、同152キロのNTT東日本・佐々木、安定感がある法大・鈴木、素材抜群の慶大・佐藤らが上位から中位の指名候補に挙がる。関西圏では、ともに伸びしろが見込める最速147キロの関大・高野、同148キロの天理大・森浦がいる。

 先発左腕に加え、もう一つの補強ポイントは、今季限りで現役引退する藤川の後釜となる即戦力セットアッパーだ。担える候補を探したとき、真っ先に挙がるのがトヨタ自動車・栗林だ。

 今年の社会人No・1投手の呼び声が高い最速153キロ右腕。チームでは先発を務めるが救援としての適性も兼備する。JABA選抜として出場した昨冬のアジア・ウインターリーグ(台湾)では抑えとして6試合14回1/3を投げ1勝0敗4セーブ、防御率0・63。25奪三振、奪三振率15・00で優勝の原動力となったように、セットアッパー、抑えに必須の「奪三振力」が高い。

 先発としても1年目からローテーションに入る力を持っており、仮に栗林を先発起用する場合には、今年の岩貞のように先発要員を1人、中継ぎに回すことも可能。先発、中継ぎの両面で即戦力として計算できる逸材だ。

 栗林に加え、今年はともに最速155キロの苫小牧駒大・伊藤、慶大・木沢が1位候補に名をつらねるなど右腕にパワーピッチャーが多い。明大・入江、東洋大・村上、日体大・森、東海大・小郷、Honda・小野、NTT西日本・大江らが上位候補だ。

 阪神は先発左腕かセットアッパーいずれかの獲得に成功すれば、12球団屈指の投手力に一層の厚みを持たせることができる。広大な甲子園を本拠地とする球団としては、頂点への最大の近道と言える。(惟任 貴信)

 ◯…補強ポイントにこだわらず、昨年同様に育成重視の指名に踏み切る場合は、1位候補は高校生投手が主体となる。筆頭候補は151キロ右腕の明石商・中森だが、プロ志望を表明した場合には中京大中京・高橋も双璧の1位候補になる。ともに将来のエース候補となりうる逸材だ。2人に続くのは素材抜群の福岡大大濠・山下、智弁和歌山・小林樹。左腕では最速152キロの横浜・松本、総合力が高い静岡商・高田らが候補に入る。

 ◯…阪神は直近5年間のドラフトで大学・社会人出身の即戦力投手の1位指名は17年の馬場だけ。これも1位入札・清宮(日本ハム)、外れ1位入札・安田(ロッテ)の競合抽選に外れた結果だった。現状では15年5位の青柳、17年2位の高橋が先発ローテーション入りし、馬場も中継ぎとして1軍戦力になりつつある。とはいえ来季は先発陣の西勇が31歳、秋山、岩貞も30歳となり、セットアッパーの岩崎も30歳。そろそろ、20代前半の即戦力投手を戦列に加えたいところだ。

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