“なめんなよ、巨人!”阪神・西勇 二塁踏ませず完封 昨秋CSの分も“倍返し”

[ 2020年9月18日 05:30 ]

セ・リーグ   阪神11-0巨人 ( 2020年9月17日    東京ドーム )

<巨・神(16)>9回2死、丸(左奥)を一ゴロに仕留めて完封勝利を飾り、ガッツポーズをする西勇(撮影・坂田 高浩)
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 巨人よ、なめるな! 阪神は17日の巨人戦に11―0で大勝。西勇輝投手(29)が散発4安打で自身初となる2試合連続完封勝利を飾り、開幕から続いた東京ドームでの巨人戦連敗を8で止め、巨人の連勝も9で止めた。16日に続き、坂本と岡本が欠場する「飛車角落ち打線」相手に格の違いを見せつけ、チーム単独トップの7勝目を挙げた。

 受けてきた屈辱を倍にして返した。16日に続き坂本、岡本がいない“飛車角落ち”で臨んできた巨人打線。西勇は“なめるな”とばかりに、アウトを重ねていった。

 「“リズム良く”と思いながらマウンドに立っていた。序盤から点を入れてくれたので、楽に投げることができました」

 5点リードとなった2回の守備から負傷交代した梅野に代わり坂本とコンビを組んだ。「普段からコミュニケーションをとっている」と動じない。6回以降は隙すら与えず、3イニング連続で3者凡退。打っても7点リードの9回1死二、三塁で三塁へのゴロで全力疾走して失策を誘い、4得点につなげた。

 「野球は何が起こるか分からない。子どもたちも見ている。最後まで全力疾走で頑張っていきたい」

 二塁塁上では最終9回に備えて肩を回し、上がったマウンドでなんなく「0」を刻んだ。107球、4安打無四球の完封勝利。因縁の場所で、昨年のリベンジも果たした。

 19年10月13日のCSファイナルS第4戦。1―1の6回2死三塁から丸のセーフティーバントで決勝点を奪われ、直後に座り込んだ行動について議論が起きたことを知っている。

 「いろいろ言う人がいたけど、ほとんどがきれいごと。勝負の分かれ目だと分かってて、バントも頭に入っていたのに守れなかった。現に、その1点で負けている。1年間投げてきた自分にしか分からない感情だと思う」

 すぐに切り替えられるほど覚悟は軽くなかった。かといって気持ちを切らせたわけでもない。次打者・岡本を投ゴロに打ち取る前に一呼吸置き、流れを呼び戻そうとしたのだ。

 周囲の声や雰囲気なんかで信念を曲げない。「どんな結果を残しても必ず何か言われる職業。“これだ”と信じたことを貫かないと後悔する」。だから、東京ドームという逆境にも負けず、完封の“おまけ付き”で昨秋の悔しさを晴らした。

 「本当にうれしいけど、次の試合がある。しっかり気持ちを入れて、次の登板に向けて頑張りたい」

 宿敵の連勝を9で止めた。連勝前に黒星を付けたのも西勇だった。諦めない姿勢を結果で示したエースに対し、矢野監督は「状態は良くなかったと思う」と評した後、「状態に左右されずに投げる。西の引き出しの多さ、技術が出た」と称賛しきりだった。(巻木 周平)

 《12年目で初の2試合連続完封》西勇(神)が11日広島戦に続き、自身初の2試合連続完封勝利。チームでは14年5月11、17日のメッセンジャー以来で、日本人投手では92年の野田浩司(7月8、15日)、湯舟敏郎(9月10、16日)以来28年ぶり。西勇の東京ドーム勝利はオリックス時代の15年8月22日の日本ハム戦以来2度目。

 《東京Dでの2桁得点&完封は猛虎初》阪神の投手が東京ドームで完封するのは18年5月8日の秋山以来。東京ドームで2桁得点&無失点勝利は06年6月30日の11―0以来2度目で、この時は下柳―能見の継投だった。球場に関係なく2桁得点&完封勝利は、05年9月11日広島戦の11―0(甲子園、投手・杉山直久)以来15年ぶり。

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