プロ生活初の“試練”に立ち向かう猛虎の両腕 西純矢&及川雅貴

[ 2020年8月8日 09:00 ]

阪神・西純矢
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 長かった梅雨空が嘘のように猛暑が続く中、現在阪神は今季初の9連戦に臨んでいる。そんな状況で2軍に目を向けてみると、猛虎が誇る期待の両腕、ドラフト1位・西純矢投手(18)と同3位・及川雅貴投手(19)がプロ生活初の“試練”に立ち向かっている。

 新型コロナウイルスによる活動休止はあったものの、2投手ともにプロ生活の滑り出しは順調そのものだった。西純は6月25日のウエスタン・リーグ、オリックス戦(甲子園)で4回から3番手として公式戦初登板。最速150キロの直球を連発するなど3回3安打無失点、3奪三振と快投し、高校2年の夏以来、679日ぶりの甲子園凱旋でいきなり公式戦初白星を飾った。翌日には及川が同・オリックス戦の7回から4番手として公式戦デビューし、2回を完全投球。こちらは高校3年の春以来、459日ぶりの聖地凱旋で勝利投手となり、期待のルーキーが連日で“プロ初白星”を挙げたのだ。

 しかし、そのまま順風満帆に万事がうまく進み続けるほどプロの世界は甘くない。「(プロでは)下位打線でも1球たりとも気を抜くことができない。どの打者にも1球1球集中して投げることを意識し続けると…」とスタミナ面を課題に挙げたのは及川だ。4回1/3を80球、7安打4失点で降板した先月19日の公式戦初先発(同・広島戦)を経て、同29日のソフトバンク戦(タマスタ筑後)では3被弾するなど5回10安打5失点。4回までは140キロ台後半のノビのある直球が冴え渡るも、球速が落ち始めた5回にはリチャード、真砂にそれぞれ甘く入ったボールを本塁打にされた。「タマスタ(筑後)は人工芝が(熱を)吸収するんで。めちゃくちゃ暑かったです」。初めての遠征先のマウンドで、何もかもが初経験。想定外の暑さを苦笑いを浮かべながら振り返った。

 球数がかさむと球速が落ちる課題を西純も抱えている。80球をメドにプロ初先発した先月2日の同・広島戦(由宇)は4回2/3を1安打1失点も、予定を100球に増やした同・12日の大阪ガスとのプロアマ交流戦では5四球を与えるなど5回4安打2失点。セットポジションでの制球の乱れを修正できず、続く同・21日の同・三菱重工神戸・高砂戦では7四死球を出すなど4回2/3を9安打5失点。「自分のフォームばかり気にして、自分を苦しめる投球になっている。相手に向かう強気な投球をなくさないよう反省していきたい」と唇をかんだ。短いイニングで球威を取り戻して欲しいと願う首脳陣のプランにより、31日のウエスタン・リーグ、オリックス戦(鳴尾浜)では3イニングと投球回を減らして登板(4安打3失点)。次回9日の同・広島戦(由宇)も同様に3イニング予定だ。

 プロで初と言ってもいい“壁”に直面している2投手だが、登板の度に得る課題と経験が大きな糧になるのは言うまでも無い。ともに「BIG4」と呼ばれた佐々木朗希(ロッテ)は1軍同行を続けるも、実戦登板なし。奥川恭伸(ヤクルト)は上半身のコンディション不良で現在はノースロー調整だ。それぞれが己の課題を抱える中、プロとして初めての夏に突入した。平田2軍監督は常々「打たれていくことで覚えていく。勉強だよ」と話す。西純、及川ともに“勉強”を積み重ねて、目の前の“試練”を乗り越えていく。(記者コラム・阪井 日向)

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