ソフトB・板東プロ1勝!“鳴門魂”渦潮トルネードで3回零封「ふがいない1年目を取り返す思い」

[ 2020年8月7日 05:30 ]

パ・リーグ   ソフトバンク3―1楽天 ( 2020年8月6日    楽天生命パーク )

<楽・ソ>プロ初勝利を挙げたソフトバンク・板東はウイニングボールを手に笑顔(撮影・沢田 明徳)
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 求めたのは「自分が投げたい球」ではなく「打者が投げてほしくない球」。それがプロ初勝利につながった。ソフトバンク・板東の笑顔が、杜の都で照明に映える。初めてのヒーローインタビュー。今季5度目の登板で手にしたプロ初勝利の喜びを、素直に表現した。

 「ふがいない1年目を“取り返す”思いで取り組んできた。丁寧に、まずは1勝できてうれしい」

 1―1の3回に2番手で登板。いきなりブラッシュ、浅村、ロメロが相手だったが、わずか7球で3者凡退に抑えた。5球が直球。逃げない、という意思表示だった。4回1死一、二塁も後続を抑え無失点。5回1死一塁で迎えた浅村との2度目の対戦は、外角のカットボールで二ゴロ併殺に斬った。打者11人に42球。最速148キロの直球を軸としたことで、変化球も生きた。

 JR東日本から即戦力の期待を背に入団も、昨季は甲斐野ら同期の支配下5投手で唯一1軍登板がなかった。迎えた2年目。コロナ禍で開幕が延期となり、自分と向き合う時間が増えた。5月。身長1メートル81でオーソドックスなフォームからきれいな回転の直球を投げていた右腕が、久保2軍投手コーチに「強い直球を投げたいです」と助言を求めた。返ってきた選択肢は2つ。軸足の右足で伸び上がり「ジャンプするように投げる」か「(上半身を)ひねって投げるか」だった。そこでトルネード投法を試したところ「力が入る感覚があった」。常時150キロ近い直球の球威は増し、7月10日に初の1軍切符をつかんだ。

 鳴門時代は夏の甲子園にも出場。「カトパン似」の甘いマスクでアルプスに「バンドーガールズ」まで集めたが、現在は「強い球を投げられるなら、どんな形でもいい」とプライドを捨てて野球に取り組む。チームは単独首位。渦潮のようなトルネード投法で、これからも勝利に貢献する。

【板東湧梧アラカルト】
 ☆生まれ&サイズ 1995年(平7)12月27日生まれ、徳島県鳴門市出身の24歳。1メートル81、78キロ。右投げ右打ち。

 ☆球歴 板東小2年時に野球を始め、大麻中では軟式野球部に所属。鳴門では12年春から4季連続甲子園出場し、3年夏は8強入り。JR東日本では18年都市対抗で3勝をマークし4強。同年ドラフト4位でソフトバンク入り。昨年は2軍で21試合に登板し3勝5敗、防御率4.14。

 ☆不運 入団1年目の昨季は3月10日のオープン戦、巨人戦でプロ初先発予定も雨天中止。その後に2度、インフルエンザでチャンスを逃す。

 ☆好きな選手 球団OBの摂津正氏。入団時には「同じ会社(摂津はJR東日本東北)の先輩ですし、摂津さんがつけていた背番号50をもらえてうれしい」。

 ☆好きな食べ物 麺類。嫌いな食べ物はパクチー。

 ☆好きな言葉 感謝。

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