“猛虎の梅雨明け”阪神・梅野 3ランで21イニングぶり得点「なんとか援護したいと思っていた」

[ 2020年8月1日 05:30 ]

セ・リーグ   阪神3-3DeNA ( 2020年7月31日    甲子園 )

<神・D(7)>4回2死二、三塁、梅野は右中間に3点本塁打を放ちナインとエアタッチ (撮影・奥 調)
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 阪神は7月31日のDeNA戦で延長10回の末、規定により引き分けた。「ウル虎の夏2020」と題した3連戦初戦は3点リードを追いつかれたが、梅野隆太郎捕手(29)が4回に3号3ランを放ちチーム21イニングぶりの得点をたたき出した。この日、近畿地方が梅雨明け。停滞気味だった猛虎打線も、この一発を機に“梅雨明け”し、8月反攻といきたい。

 静寂を切り裂く打球は、最後まで力強かった。梅野のこん身の一振りが、元気のない猛虎にこれ以上ない活力を与えた。

 「ヤギ(青柳)もすごく頑張っていたし、なんとか援護したいと思っていたので、先制できて良かった」

 快音を響かせたのは0―0の4回だ。2死からつくった一、二塁の好機で上茶谷の高めに浮いた2球目のカットボールを仕留めた。右中間最深部に届く先制の3号3ラン。7月1日中日戦以来、23試合91打席ぶりの一発に二塁を回ったところで確認すると、右手でガッツポーズした。

 女房役としての意地も見えた。序盤から力投していた青柳を自らのバットで援護。ベンチ前で出迎えた後輩右腕には、周囲への感謝の意味を込めて着用している青色のリストバンドを指さし「テレビの人にも伝われば」と喜びを分かち合った。29日ヤクルト戦の2回から続く連続無得点を20イニングで止める一打に、矢野監督も「すばらしいホームランだった」と目を細めた。

 その後も攻守で執念を見せた。6回2死二塁ではボールを見極め四球を選ぶと、同点の8回2死一塁では10球粘った末に右前に運んで好機を拡大。守備でも幾度となく、身をていしてワンバウンドを止め「自分の中でどんな状況でもピッチャーを助けるというか、当たり前に見えるけど、必死にしてるつもり」と胸を張った。

 試合前、バックネット裏で自身の名前が入った応援タオルを掲げる幼少のファンを見つけると、声をかけた。1日から夏休みになる子どもが多い中、わずかな時間でもファンにとっては幸福なひととき。夏の思い出作りもアシストした。

 「引き分けた結果は大きいけど、勝たないといけない展開だったので。悔しい気持ちが強い。モヤモヤした部分もある。チームとしてきっかけをどんどん作れるようなことをやっていけたらと個人的には思う」

 逃げ切れなかった反省と、危機を脱した安堵(あんど)が入り交じる中、最後は前を向いた。この日、本拠地・甲子園がある近畿地方は梅雨明けした。扇の要の決意が、猛虎打線を“梅雨明け”させ、再び上昇気流に乗せる。 (遠藤 礼)

 《右方向の一発は初》梅野(神)が右中間席へ先制の3号3ラン。甲子園での本塁打は通算7本目になるが、中堅よりも右方向へ打ったのは初めて。プロ通算33本塁打の方向別内訳は左翼11、左中10、中堅4、右中4、右翼4。右中と右翼方向の合計でシーズン最多は15年と18年の2本だが、今季は7月1日にナゴヤドームで右中間席へ2号ソロを放っており、早くも自己最多に並んでいる。

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