広島・野村 1554日ぶり完封お預けも8回無失点 1日で最下位脱出に成功

[ 2020年7月30日 05:30 ]

セ・リーグ   広島2-0中日 ( 2020年7月29日    マツダ )

<広・中(8)>5回2死、A・マルティネスを左飛に打ち取り笑顔でベンチに戻る野村 (撮影・奥 調)
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 広島・野村祐輔投手(31)が29日の中日戦(マツダ)でうれしい今季初勝利を挙げた。自慢の制球がさえ渡り、8回を無四球で4安打零封。投手の苦しい台所を救う快投だった。打っては主砲・鈴木誠也外野手(25)がバックスクリーン右へ均衡を破る9号決勝2ラン。投打の中心選手が活躍し、4度目の最下位脱出に成功した。

 待望久しい輝きだった。16年4月27日のヤクルト戦以来、1554日ぶりの完封完投はならなかったが、苦しい台所を救うに十分な8回97球の零封劇。2時間16分の今季両リーグ最短試合と、今季チーム初の無失点勝利を演出した野村は、充実感をにじませた。

 「すごくうれしい。相手もいい投球をしていたので、粘って点を与えないように強い気持ちで投げられた」

 中日・松葉との投手戦。チェンジアップ、スライダーなど多彩な変化球を巧みに操り、5回まで1人の出塁も許さない。2点の援護を得た直後の7回無死一、二塁が唯一のピンチだ。だが、野村は動じない。ツーシームを内外に配し、ビシエドを三ゴロ併殺、高橋は右飛に斬ってみせた。

 「コースにしっかり投げられた。要所で内角に投げて、詰まらせることができた」

 16年に最多勝、最高勝率の2冠に輝きながら、3季連続で1桁勝利に甘んじ、確たる信頼を取り戻したい9年目。昨季中の失敗体験から学びを得ていた。

 「トレーニングの助言をトレーナーさんに求めた時、“じゃあ、これやって”と言われたことが全くできなかった。衝撃でした」

 可能だったのものが不可能になる現実。足もとを見つめ直し、オフに徹底したのが体幹強化だ。右ふくらはぎ痛による出遅れは誤算だったが、今季初登板で6回1失点に抑えた前回22日の阪神戦に続いて好投し、「自分の中では来季が楽しみ」との言葉を証明した。

 「悩んだけど、球数が100球近かったからね」。佐々岡監督は8回での交代理由をそう説明し「祐輔らしい投球だった。ナイスピッチング。最年長なので、今日みたいな投球をしてくれれば、投手陣がピリッとすると思う」と目を細めた。

 昨年8月8日のDeNA戦以来、356日ぶりに味わう今季初勝利の美酒。野村は前を見据えて力を込める。

 「まだまだ、これから頑張らないといけない。(大瀬良)大地が抹消中だけど、全員で戦っていきたい」

 シーズンを通してローテーションを守り、低迷するチームを引っ張ってこそ最多勝右腕の復調は成就する。 (江尾 卓也)

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2020年7月30日のニュース