“痛すぎる離脱”阪神・糸原 右手有鉤骨の骨折 12試合連続安打、312試合連続出場中の主将

[ 2020年7月23日 05:30 ]

セ・リーグ   阪神3-3広島 ( 2020年7月22日    甲子園 )

<神・広(4)>初回1死、糸原は遊ゴロに倒れる(撮影・北條 貴史)
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 主将の負傷離脱にチームが総力を結集した。阪神は22日の広島戦で規定により、延長10回の末、今季初めて引き分けた。糸原健斗内野手(27)が試合途中で病院に直行し検査を受けた結果、「右手有鉤(ゆうこう)骨の骨折」と診断される中、チームは逆転を許した9回に途中出場した近本が同点適時打を放つなど、今季初めてベンチ入りした野手全員を使い切り、執念ドローに持ち込んだ。

 1番の糸井から始まった5回の攻撃。次打者席にいるはずの糸原に代わって姿を見せたのは北條だった。前2打席は無安打とはいえ、前日21日まで自己最長を更新する12試合連続安打を放ち、好調さを保っていただけに、何らかのアクシデントがあったことを想像するのは難しいことではなかった。試合後、矢野監督が最悪の結果を告げた。

 「健斗はちょっと無理やろね。抹消になると思うんで」

 右手有鉤(ゆうこう)骨の骨折。いつ、どんな状況で骨折したか、現状では分からず、全治も不明だが、23日に出場選手登録を抹消することを明言。18年の開幕戦から続けてきた連続試合出場も312試合でストップすることが確実となった。

 糸原は今季、ここまで打率・310、2本塁打、8打点。7月に入ってからは15試合で51打数19安打で打率・373と中軸へのつなぎ役として抜群の存在感を発揮していた。不動の二塁手として、主将として、チームを引っ張ってきた存在だけに、矢野阪神にとっても想定外の痛すぎる離脱になる。

 そんな中でも、チームは勝利に向けまい進した。8回にはサンズが一時勝ち越しとなるソロ本塁打を放ち、大山のミスから逆転を許しても、途中出場した近本が意地の同点打。10回も総力を余すことなく使い切り、最後まで勝利を求めた。

 矢野監督は「サヨナラで決めたかったけど、みんなでチャレンジしてチーム全員一丸で戦う姿っていうのは見てもらった。みなさんに伝わったかな」と糸原不在の今こそ、チームとしての底力を見せる時だとした。井上打撃コーチも「今一番絶好調で打線を引っ張っているやつがいなくなるのは本当に痛いけど、チームとして、しょげている場合ではない。健斗は悔しいだろうし、うずうずすると思うから“煮干いっぱい食っておけ”と言っておきます」と努めて明るく振る舞い、他の選手の奮起に期待した。

 骨折の度合にもよるが、他球団では過去に1カ月余りで復帰した選手もいる。今は一日でも早い復帰を願うとともに、チームとして、より多くの白星を積み重ねるだけだ。

 《開幕戦から312試合連続出場》糸原(神)は22日の広島戦に2番二塁で先発。18年の開幕戦から312試合連続出場で、セの現役では岡本(巨)の313試合に次ぐ記録となっている。

 ▽近年有鉤骨を骨折した主な打者
 ★日本ハム・中田翔 08年6月14日のイースタン・西武戦で左手首を負傷。精密検査の結果、全治1カ月。9月9日の2軍戦で実戦復帰し中越え2ラン。

 ★ヤクルト・雄平 17年6月28日の巨人戦で右手首の痛みを訴える。全治2~3カ月の発表。10月3日のシーズン最終戦で1軍復帰。

 ★日本ハム・清宮幸太郎 19年3月3日にDeNAとのオープン戦で右手首を痛め、5日に骨片を摘出。全治3カ月。5月24日の西武戦でシーズン初出場。

 ★DeNA・宮崎敏郎 19年8月7日の広島戦で左手首を痛め、9日に骨片摘出。シーズン絶望とみられたが、約1カ月後の9月12日から実戦復帰した。

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2020年7月23日のニュース