大谷、674日ぶり実戦登板 打者10人7四球と大荒れも「怖さはなかった」

[ 2020年7月9日 02:30 ]

右肘手術を受けてから初の試合形式となる紅白戦に登板したエンゼルス・大谷(AP)
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 ついに投げた!!エンゼルスの大谷翔平投手(26)が7日(日本時間8日)、本拠地で行われた特別ルールの紅白戦で先発。打者10人に50球を投じ、7四球を与えた。結果は出なかったが右肘のじん帯再建手術(通称トミー・ジョン手術)前の18年9月2日のアストロズ戦以来、674日ぶりの実戦登板が無事に終了。完全復活に向けた大きな一歩となった。

 登板後のオンライン会見。大谷の表情が少しだけ明るくなった。約1年10カ月ぶりのマウンド。打者10人に全球種を使って50球を投げ、7四球と乱れたが「問題なく球数を投げられたので良かった。(腕を振る)怖さは特になかった」と素直に投手復帰を喜んだ。

 674日ぶり実戦登板。3回50球をメドとし、15球程度で攻守交代の特別ルールが敷かれた。初回は四球や暴投で1死一、三塁となって打ち切り。2回は2者連続四球から、ラステラに右中間適時打を打たれ終了した。3回も修正できず、先頭から3者連続四球(レンドンへの死球がボール扱い)を与え、1死も取れず降板となった。

 結果だけを見れば散々な内容。だが、この日の収穫は「投げた」ことだ。「もちろん思い切り投げにいっていない。右打者中心で置きにいってしまったのが強い。術後明けの不安というより、そういう面が大きかった」と大谷。打者と10度の対戦で右打者が8度。抜け球の死球を恐れ「ブルペンとは全然違う。味方に投げる経験も(18年のキャンプ以来)ないので、そこら辺は違いがある」と分析する。ジョー・マドン監督も「何も心配はないし、警報を鳴らすこともない」と信頼する。

 トミー・ジョン手術はリハビリ期間が長く、つらいことで復帰した投手が感極まって涙を流すことが多い。大谷は実戦登板こそ18年9月以来だが、昨年は打者で106試合に出場。「ちょっと人と違う。長いとは思わなかった」と感傷に浸ることはなかった。これも二刀流の恩恵といえる。

 米メディアによれば26日(日本時間27日)の開幕3戦目、敵地アスレチックス戦先発が有力。大谷は次回の紅白戦登板に向け「3日後か4日後か分からないけど、そこまでしっかりやりたい」と表情を引き締める。完全復活のその時、大谷の無邪気な笑顔がきっと見られるだろう。

 《大谷 手術からの経過》
 ▼18年10月1日 右肘のトミー・ジョン手術を受ける
 ▼19年3月8日 術後初のキャッチボール
 ▼6月26日 ブルペンで術後初の投球練習
 ▼20年2月23日 キャンプで初の投球練習
 ▼3月11日 キャンプで6度目の投球練習
 ▼4月13日 開幕延期決定後、初の投球練習
 ▼5月31日 3度の実戦形式登板を球団が公表
 ▼7月7日 術後初の特別ルール紅白戦に登板
 (日時は現地時間) 


 《コロナ対策下で実施》大谷が登板した紅白戦は新型コロナウイルス対策で定めた「運用マニュアル」の下で実施された。首脳陣、スタッフはマスクを常時着用。控え選手が待機するベンチも人数を最小限とした上、互いに一定の距離を取って座った。今季禁止のハイタッチやかみタバコやヒマワリの種をかむ場面もなかった。

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