元ヤクルト・加藤幹典氏 「絶望しかなかった」8歳上妻が振り返る戦力外後の心境と新たな挑戦

[ 2020年7月4日 10:00 ]

元ヤクルトの加藤幹典さんが、TBS「バース・デイ」で戦力外通告を受けた後の心境を語る(C)TBS
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 元ヤクルトの加藤幹典さん(35)が4日放送のTBS「バース・デイ」(土曜後5・00)に出演する。将来のエース候補として期待され、2007年大学・社会人ドラフト1位で入団したが、わずか5年で戦力外に。その後の人生を支えた妻との絆と、驚きの転身を遂げた男の新たな挑戦を追う。

 加藤氏は現在、8歳年上の妻・さやかさんと9歳になる長男コウタくんと家族3人で生活。コウタくんは父のプレーを見たことがなく、当時の映像を見て「これパパ?」と不思議そう。今でこそ現役当時を笑って振り返ることができるようになったが、かつて加藤氏は人生のどん底にいたという。

 慶大のエースとして、斎藤佑樹(現日本ハム)と投げ合った加藤氏は150キロの速球を武器に大学通算371奪三振。「大学ナンバーワン左腕」として、2007年大学・社会人ドラフト会議でヤクルトから1位指名を受けプロの世界に飛び込んだ。だが思うような結果が出ず、勝てない日々が続いた。さらに左肩を故障。そんなどん底の時に、8歳年上の妻・さやかさんと出会った。さやかさんに支えられ、加藤氏は3年目にプロ初勝利を挙げる。そして、この年のオフにさやかさんと結婚。翌年に長男のコウタ君も誕生し、さらなる飛躍を誓った。

 だが、満身創痍(そうい)で挑んだ4年目のシーズンは結果を残せず戦力外通告を受けた。心身ともに落ち込み「仕事という意識が芽生えてしまって野球を楽しめない」と野球嫌いになってしまい、第2の人生に何をすべきか思い悩んだという。「起業したいとか、突拍子もないことを言っていた覚えがある」と振り返る。

 「起業したい」という夫の言葉を聞いた妻は「絶望しかなかったですね。言ってることが甘すぎるし、簡単に考えすぎるというか。まだ、ほとんど学生と感覚変わらなかったと思う」と厳しい言葉。「野球選手って社会人経験もなく、そのまま野球だけをやってきている分、足りないものが多すぎるから『今起業しても100%失敗すると思う』って話をしていて、社会人としての基礎知識、土台を作ってからじゃないと、その上に何建てても崩れるよって話をしました」と夫を説得した。

 妻の説得を受け加藤氏はヤクルト本社で働く道を選択。配属されたのは「宅配営業部」で、ヤクルトレディと一緒に毎日何十件も訪問販売する日々。思い描いていたものとは違ったが、そんな生活を送る中で、加藤氏は子供達に野球を教える機会があった。

 「やっぱり俺野球好きだわって言い出したんですよ。表情も明るくなりました」とさやかさん。加藤氏も「教えた子供が結果が出たよ、ホームラン打ったよとか、そういう言葉をいただけることに凄く快感、喜びを感じたんですね」と野球への気持ちを取り戻した。

 そして加藤氏は5年間務めたヤクルトを退社。大学時代の友人のサポートを受け、2年前に野球教室を運営する会社を立ちあげた。プロ経験者の親身な指導が評判を呼び、池袋と横浜合わせて生徒数は45人まで増えた。だが今春、新型コロナの影響で野球教室が中止。大きな打撃を受けたが、リモートでの野球教室を開き急場を凌いだ。まだまだ続くコロナの苦境の中で、加藤氏は驚きの行動に打って出た。加藤氏が新たに描いた「夢」とは。

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