四国IL徳島・戸田懐生投手 肘痛で高校退学も…昨季守護神として“再起”夢のNPB目指す

[ 2020年5月22日 05:30 ]

今年は守護神から先発へ転向する戸田(球団提供)
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 【BALL PARK】独立リーグも新型コロナウイルスの影響で開幕は延期となっている中、今年ドラフト会議(11月5日)での指名を目指しトレーニングに励む選手がいる。四国アイランドリーグplusの徳島に所属する最速148キロ右腕、戸田懐生(なつき)投手(19)の「今」を取材した。(柳内 遼平)

 海を望む砂浜が戸田の練習場所だ。午前中にランニングで足腰を鍛え、キャッチボールをこなす。給料はシーズン中のみ支払われるため、午後5時から午後9時までフィットネスクラブでトレーナーのアルバイトをして生活費を稼ぐ。「業務後に筋トレさせてもらって、一石二鳥です」と逆境も成長の糧としている。

 東海大菅生2年の17年、夏の甲子園の3回戦で青森山田相手に9回1失点の完投。チームはベスト4に進んだ。しかし、2年秋から肘の故障で野球をやめ高校を退学。通信制高校に進んだ。それでも肘の痛みが消えた昨年6月。東海大菅生時代の顧問に相談し、徳島を紹介されたことが転機となった。

 徳島は7年連続NPBに選手を輩出している名門。リーグの後期戦から加入した戸田は守護神を務め、19回1/3で21三振を奪い自責点0。同年の独立リーグ日本一に貢献し、プロのスカウトの目にも留まった。今年は戸田のドラフト指名解禁年。「(今は)スカウトに見られていることを感じる」と話した。

 今年は先発に転向。投球フォームも一度上げた左足を止めてから勢いをつける「2段モーション」を採用し、最速148キロの速球の球威とともにリリースも安定した。2月の韓国の高校相手には8者連続三振を記録。同26日の西武2軍との試合では2回2失点ながら「プロ(NPB)の打者は空振りの確率は低い。直球の回転数やスピードをより磨きたい」と目指す方向性は明確になった。

 5月11日にチームは全体練習を再開した。「もし、コロナがなければ…と思うことはあるが、プロへの道を切り開くために一球一球に思いを込めている。今年が最後の挑戦です」。6月中旬以降の開幕、そしてドラフト指名を見据え、右腕は強度を上げていく。

 《6月中旬以降の開幕目指す》四国アイランドリーグplusの所属球団は全体練習を再開し、6月中旬以降の開幕を目指している。医師からの助言を基に、今後4球団とリーグの代表者会議で開幕日を決定する。現在までにコロナ禍によるリーグ公式スポンサーの撤退はないという。同リーグの馬郡健社長は「観客収入が収益の柱ではないので、直ちに経営が苦しいという状況ではない。全ての球場が野外といったリーグの特性を考慮し、開幕を目指す」と話した。

 ◆戸田 懐生(とだ・なつき)2000年(平12)7月22日生まれ、愛知県出身の19歳。東海大菅生では2年時に夏の甲子園に出場。通信制KTCおおぞら高等学院を経て、19年6月に徳島入団。持ち球は最速148キロの直球にカーブ、スライダー、カットボール、チェンジアップと多彩。1メートル70、69キロ。右投げ右打ち。

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2020年5月22日のニュース