暴れん坊ガルベス 史上最悪の暴投 甲子園での伝統の一戦を汚した球審への凶器

[ 2020年4月26日 06:45 ]

1998年7月31日、ベンチ前で球審へ向けボールを投げつけた巨人のガルベス(右)
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 【Lega-scene あの名場面が、よみがえる。~乱闘編~】昭和、平成の名場面を本紙所蔵の秘蔵写真からお届けする「Lega―scene(レガシーン)」。プロ野球乱闘編の第6回は、1998年7月31日に行われた阪神―巨人戦(甲子園)から。球審の判定にいら立った巨人のバルビーノ・ガルベス投手(当時34)が交代時に三塁ベンチ前から球審目掛けてボールを投げつけた一枚です。

 こんな暴投、見たことがない。それはまさに「暴」力の「投」球と言っていい。98年の夏。1週間後に球児たちが熱戦を繰り広げる聖地で史上最悪の暴投は投じられた。

 伝統の一戦。その名を汚す行為は6回裏だった。交代を告げられたガルベスは橘高淳球審へ詰め寄る。判定への不満。6失点でイライラは頂点に達していた。「何をやってるんだ。戻れ!」長嶋茂雄監督が指示しベンチ前まで戻ったときだった。突然、振り返るとボールをマウンド付近にいた橘高球審へ投げつけたのだ。

 ボールは2メートルほど上を通過。直撃はしなかった。だが、退場宣告を受けたガルベスは大暴れ。駆け寄った橘高球審につかみかかろうとする。ナインに押さえ込まれようやくベンチ裏へ下がった。

 球速150キロ超のガルベスの投げるボールは凶器だ。当人への厳しい処分は当然。長嶋監督は責任を取って丸刈りになった。1週間後に開幕した夏の甲子園。松坂大輔擁する横浜がPL学園との「伝説の延長17回」を戦い抜き、優勝した。(敬称略)

 ≪“被害者”橘高球審「こんな行為初めて≫止めに行ったダンカンの腰も引けるほどの、前代未聞ともいえる暴挙の引き金となったのは6回先頭の坪井智哉に打たれた2号ソロ。カウント1―2からの4球目の内角直球をボールと判定された直後の被弾だった。橘高球審は「20年近く野球界に在籍しているが、こんな行為は初めて」と語った。セ・リーグからは残り全戦出場停止処分、球団からは無期限の出場停止と罰金約4000万円が科せられた。ガルベスは翌年4月2日の開幕戦、因縁の阪神戦(東京ドーム)で球団史上初の外国人開幕投手を務め3安打1失点で完投勝利を収めた。

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