日本ハム・杉谷 初勝利呼ぶサヨナラ打も「サイレント・サイレント」…歓声なしは「寂しい」

[ 2020年3月1日 05:30 ]

オープン戦   日本ハム4ー3オリックス ( 2020年2月29日    札幌D )

オリックスとのオープン戦の9回2死満塁、サヨナラ安打を放ちガッツポーズする日本ハム・杉谷(撮影・高橋茂夫)
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 新型コロナウイルスの感染拡大が終息の気配を見せない中、プロ野球は29日、史上初となる無観客でのオープン戦を5球場で開催した。日本ハムは今季初の札幌ドームでの試合でオリックスと対戦。1点を追う9回2死満塁から杉谷拳士内野手(29)が、チームをオープン戦4試合目での初勝利に導く逆転サヨナラ打を放った。

 「カチン!」。バットが発した乾いた音が無観客の札幌ドームに響いた。オープン戦初勝利をもたらす杉谷のサヨナラ打。しかし、いつもはあるはずのファンの大きな歓声はない。聞こえてきたのは、三塁ベンチの日本ハムナインの「オー!」という歓声と拍手だけだった。

 杉谷は言う。「ファンのありがたみを感じた。打った後に歓声がないのは寂しい気持ちになった」。8回の代走から出場。9回2死満塁で初打席に立ち、右腕・沢田から右中間を破る逆転サヨナラ2点打を放った。「打席で応援歌が流れないのは久しぶり。応援歌を歌っていただけるのは凄くありがたいこと」。改めてファンの大切さを認識する試合となった。

 歓声がないサイレントな無観客試合。その中で「サイレント・サイレント」の祝福を受けた。劇的な一打の後、ナインはヒーローに駆け寄ることなく、ベンチ前で勝利のハイタッチ。メジャーリーグのように無言から一転祝福する「サイレント・トリートメント」ではなく、昨年5月23日の楽天戦で両打席本塁打を放った際に行われた、最後まで祝福されない「サイレント・サイレント」のいじりが今回も待っていた。最後は主役自らハイタッチの列に飛び込み、喜びを分かち合った。

 「開幕までにこの状況が一変すれば、と思う」。ムードメーカーは一刻も早い事態の終息を願い、本来の「球音」を待ちわびる。本拠地開幕戦の24日の楽天戦はファンがスタンドを埋め尽くし、大歓声を贈ってくれるはず――。杉谷はそう信じて、会心のオープン戦初安打から調整のピッチを上げていく。(東尾 洋樹)

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