広島・小園、野村謙二郎氏に激白 ミスショット減へ“初球から”積極打法!

[ 2020年2月13日 05:30 ]

本紙評論家の野村謙二郎氏(左)の激励を受け、今季の抱負を書いた色紙を手にする広島・小園(撮影・奥 調)
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 広島・小園海斗内野手(19)がスポニチ本紙評論家の野村謙二郎氏との対談で積極打法へのこだわりを明かした。田中広との定位置争いに挑む2年目。昨季の苦い経験から今季の目標までを語り合った。(構成・河合 洋介)

 野村 1次キャンプが終わった。仕上がりだったり、見えてきた課題を聞かせてほしい。

 小園 去年は、ミスショットが多いのが課題でした。打撃練習での確実性が上がってきているのは改善点かな…と思います。ただ、実戦形式では、まだミスショットがあります。そこがまだ甘いところで、(朝山)東洋さん(打撃コーチ)からも“まだ投手に対して入っていけてないな”という話をされました。

 野村 いまの話で一ついいキーワードが出た。“ミスショット”という言葉は、打者として段階が上がったコメント。現役時代に前田選手、金本選手、新井選手らとよく話したのは、“1打席で2回ミスショットしていたらダメ”ということ。そういう時にどうするのか…という話をよくした。究極はそこにたどり着く。だから、ミスショットを減らしたいというコメントが出たのは、すごくいいこだわりだと思う。小園選手は初球から振りに行くタイプだけど、僕も現役時代は同じだった。

 小園 “初球を見逃せ”と言われるのは嫌ですね。

 野村 タイプ的には、僕とか巨人の高橋由伸。タイミングが合ってしっかり振れる時は、状態がいい時だった。ストライクを1つあげるのは、嫌だよね。僕も初球から振っていく中で自分から仕掛けたかった。

 小園 初球を空振りしたら、もう1球その球が来るかもしれない。予測もできると思っています。去年はボール球を振ることが多かったけど、その次の球として頭に置いていました。自分は積極的に振っていかないと勝負にならないな…と感じました。

 野村 僕には“1番打者ならもっとボールを見て”という周りの声もあった。でも、初球を待つと自分の打撃が全くできなかった。初球を先頭打者アーチにするのか、ポップフライになるのかは結果論。打ち損じた側からは“もったいないな”と見えるけど、投手側は“小園は初球から打ってくる”と思うと、簡単にはストライクを取ってこれなくなる。自分のスタイルを貫いていけばいいと思う。でも、“初球をもっと見てくれ”とか言われたことないでしょ?

 小園 ずっと(アマチュア時代に)言われてきました。親から言われたこともあります…。

 野村 嫌だよね。ムズムズするよね。一流の投手は、打つ気がないと感じるとスッとストライクを取ってくる。そうすると打者は後手に回る。全ての球に対応できるタイミングの取り方は、持って生まれた技術だからね。

 小園 ありがとうございます。

 野村 僕は大卒でプロに入ったけど、その時の自分と比べても持っているものは全然上。これから先“トリプルスリー”を期待したいとか言うのは簡単だけど、“小園というスタイル”を作りあげてほしい。首脳陣も他球団もファンも“これぐらいやってくれる選手”とか“あいつに打たれたら仕方ない”とか思われる選手になってほしい。そのあとで付いてくるのが、3割だったり、20、30本塁打、30盗塁。そういう力は十二分に持っている。“小園スタイル”とは何だろう?

 小園 アグレッシブに積極的にプレーするのが自分の持ち味だと思っているので、そこは消さないようにしていきたいです。

 野村 去年のことを振り返ってもらいたい。試合に出始めた当初はどういった心境だった?

 小園 出始めの時はとにかく緊張しかなかったです。

 野村 “やってやるぞ!”とのびのび、生き生きとやっていたように見えたけど。

 小園 積極的にやろうとは思っていました。だけど、心の中はガチガチに緊張していました。

 野村 歓声もため息もアマチュア時代とは違ったと思う。経験を重ねていく中で心境に変化はあった?

 小園 毎日1試合1試合、何が起こるか分からない。その日の体調とかも結果に関わってくるので、試合の入り方だったり、準備の大切さを学びました。練習のための練習は、本当に意味がない。練習からできていないと試合では絶対にできない。練習でできたことが試合で出せることもありました。そうやって練習から意識高くできる選手が1軍で活躍できるのだな…と感じました。

 野村 打撃とスピード、守備の華麗さ。去年のキャンプから並の新人ではないな…と見てきた。初めて対戦する投手ばかりで、いきなり結果を出すのは簡単ではない。印象に残っている投手はいる?

 小園 DeNAの今永さんの直球です。

 野村 タイミングが取りづらかったのか、思っていたより球が来ていたとか、どんな直球だった。

 小園 ボール球に見えてもストライクになるような真っすぐ。(巨人)菅野さんとか今永さんは、2ストライクに追い込んでからの真っすぐが、また凄かったです。

 野村 三振を取りに来る球は違うよね。

 小園 内角の直球は手が出なかったです。

 野村 名前が挙がったのは相手のエース級。“新人に打たれるわけにはいかない”という意識があったと思う。そういう威圧感は感じた?

 小園 感じました。やっぱり一球一球の質が違いました。

 野村 たまたま僕がテレビ解説をした時に失点に結びつく守備のミスがあった。その光景が、球場の雰囲気とか、ため息でナーバスになっていた当時の僕とすごく重なった。これを自分で打破していかないといけない。失策をするたびにうまくなっていると思ってやってほしい。

 小園 最初は足が動かなかったです。打球が飛んできた時に“またミスするぞ…”という球場の雰囲気を感じました。大事にいこうと思い過ぎていました。

 野村 ゴールデングラブ賞を何度も取った選手でも、失策の後に“またミスするのでは…”と考えてしまう。打撃の話でも同じように凄くいいことを言っていたけど、ミスをしないようにするには、練習の中で当たり前のことを当たり前にできる反復練習をすること。僕の感想だけど、小園選手は堅実的にいこうとすると、体内リズムが変わってくる。打席では初球から積極的にいくように、守備で“大事にいきなさい”と言われると足が止まってしまう。これを克服しないといけない。ずっと遊撃をやってきたの?

 小園 ずっと遊撃でしたが、小学校の頃に投手をやったこともあります。

 野村 遊撃をやってきた人にしか分からない楽しさがある。ピンチを救ったりファインプレーしたりとか。遊撃へのこだわりを持ってやってほしいな…と思う。しかも、3連覇した時の先輩がいる。これを超えていくのが第1段階。去年から成長しているな…と思わせられるように、キャンプとかオープン戦で他球団にも見せつけてほしい。

 小園 はい。頑張ります。

 野村 遊撃は試合に合わせてコロコロ変えられる守備位置ではない。だから、守備に打撃に広輔をリードしないといけない。“広輔がいないから小園”と言われるのと、“遊撃は小園”と言われるためにやるのでは、今年の方がやりがいがあると思う。久々にポジションを奪うために野球をするワクワク感があるよね。
 小園 プレッシャーもすごくあります。すごい方と競争させていただいているのは、感謝しかない。自分の目標を持ってしっかりやって、クリアできれば達成感もあると思います。そこに向かって一日一日を大事にしていきたいです。

 野村 最後に今季の意気込みを聞かせてほしい。

 小園 遊撃のレギュラーを取れるように頑張ります。ありがとうございました。

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