新井貴浩氏 ヤクルト・山田哲のトリプルスリーの秘けつは天才的な間

[ 2020年2月4日 07:45 ]

ヤクルト・山田哲のフリー打撃を見つめる新井氏(撮影・村上 大輔)
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 【新井さんが行く】まだ3日目なのに山田哲はバットが振れていたねえ。本人によると「まだまだ全然」とのこと。仕上がったら、どんなスイングになるのか。

 タイミングの取り方が特長で、左足を上げて「大きく、ゆったり」。間の取り方が天才的にうまい。上げた左足が一度、本塁を“まさぐる”ように動く。「1、2の3」で打つとすれば、「の」が「の~~」という感じ。投手側へ入りながら軸足にも体重が残っている時間が長いから、他の打者よりもボールを長く見ることができる。だから、打率も高いし、本塁打も多い。

 昨秋プレミア12では韓国との決勝戦で逆転の決勝3ラン。見ていて興奮した。でも、一番印象深い打席は初戦のベネズエラ戦だった。劣勢の8回に満塁の好機で登場。打席へ向かう時に目つきや表情が普段と全然違って見えて、ゾクッとした。

 ほとんど経験のない代打、しかも、坂本に代わる起用だった。何重ものプレッシャーの中で初球に左翼ポール際へ大ファウルを放ち、押し出し四球をもぎとった。あの状況で初球から振れる気持ちの強さがもの凄い。最後の決勝弾にもつながる打席だったと思う。

 トリプルスリーを3度やるくらい異次元の選手。日本球界では数少ない「5ツール・プレーヤー」だ。今年は「40―40(40本塁打&40盗塁)」を達成する姿を見てみたい。誰もがうらやむ能力。自分にもあったら…。

 高津監督は広島工の先輩。現役時代から変わらない明るさと楽しさがグラウンドの中に出ていた。山田哲については「全部任せている」と信頼は絶大だ。昨季最下位の悔しさもあるだろうし、今年の山田哲は、さらに凄いことをやってくれそうだ。

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2020年2月4日のニュース