ダルも眼力認めた「お股ニキ」来季阪神を大分析 ボーアは大当たりの予感「バースの再来」

[ 2019年12月30日 05:30 ]

阪神入りしたボーア(ゲッティ=共同)
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 6月に本紙に初登場した「お股ニキ(@omatacom)」が29日、再び阪神タイガースを大分析した。大リーグのカブスで活躍するダルビッシュがその眼力を認め、ソフトバンク・千賀ら複数のプロ野球選手とも密かに交流するプロウト(プロの素人)を、ツイッターで「チャリコ遠藤(@sponichi_endo)」として活動する虎番が直撃。大砲候補のジャスティン・ボーア内野手(31=エンゼルス)が、バースの再来となることを予言した。

 ――投打のバランスを考えると、リーグ優勝へ来季は野手の奮起が必要になる。
 「いろいろ議論されているんでしょうけど。大山を二塁で使うのかとか、三塁はマルテで行くのかとか。打力を上げるには大山、マルテ、ボーアを打線の中に共存させることが大前提だと思いますね」

 ――大山の守備位置は。
 「正直、二塁はできると思います。三塁ができる人は守れる。今はデータもあって、ある程度打球の傾向も把握できるので大山クラスの守備力があれば二塁はできると思ってます。大山が二塁でマルテが三塁でとなると、投手主体のチームなのに“ファイヤーフォーメーションだ(※1)”とか言われると思いますけど、それぐらいやらないといけない。マルテを左翼でもいいかなと。糸井も含めて共存させないと」

 ――糸井の役割もキーになる。
 「意外と大砲ではなく出塁してお膳立てをするタイプだと思います。3割、15本塁打、出塁率4割ぐらいで。2番に置いてボーアら中軸が還す形になれば、得点も上がっていくように感じます」

 ――ボーアをアナライジングしてほしい。
 「太鼓判とか大げさに書かれちゃうと困るんですが……本当にバースの再来だと思うんですよね。似てるんですよ。左打者で、いったんヒッチしてから戻って、スイングするフォームがそっくりですよね」

 ――「当たり」の助っ人になりそうか。
 「阪神も重視してたのは、逆方向に長打が打てるのかというのを見ていたと思うんですよね。甲子園で本塁打を量産できる左打者は代々、浜風に乗せてレフトに打てますよね。掛布さん、金本さん、桧山さん、ブラゼル。いくらパワーがあって引っ張っても25本ぐらいが限界だと思うんですよね。金本さんも狙ってレフトへ本塁打を打っていた印象なんで、ボーアにもその技術があるかだと思うんですが、おそらく、あると思います。メジャー時代の本塁打集を見ていても、センターから左に打ち込むのが結構多いんですよね(※2)。抜いたボールは引っ張って、一番いい時は変化球でも粘って打てています。“金本的”にうまく乗せて打てると思う。バースの再来と期待してしまうのは分かります」

 ――メジャーでは15年に23本塁打、17年には25本塁打を打った。
 「当時はかなりいいバッターで、マーリンズにはスタントン、オズナ、イエリッチと強打者がそろっている中で3人の次にいいバッターの位置づけだった(※3)。当時、ツイッターでもフォロアーの方々と“ボーアはいいよね”という話題にもなっていましたから」

 ――活躍するか。
 「肝心なのは今の実力。いい時よりは落ちてると思いますが、それがどこまで落ちているか。日本もレベルはかなり上がっていますが、球速は(メジャーより)5キロほど落ちるので90マイルのボールをどれだけ打ち返せるか。日本はインハイのストレートを見せてフォークやスライダーを多く投げて誘ってくると思うので、いかにそこでバットが止まるか。最初にうまく爆発してくれて波に乗ってくれれば。開幕からいきなり不振になると、ファンもフロントも我慢できなくなりそうなので。日本に来る選手としてはかなり楽しみな存在です」

 ――ボーア以外では打線で考えると糸原にも期待している。
 「(ロッテから楽天に移籍した)鈴木大地のような存在になってほしいですよね。内野どこでも守れて、大砲タイプの間に入ってつないで、リーダーシップもある。四球も選べて、引っ張っても強い打球が打てるのでキーマンではありますよね」

 ――近本に2年目のジンクスはあるか。
 「想像以上にすごい選手でした。打撃はもう少し良くなるだろうし、近鉄などで活躍した大村(直之)選手(※4)のようになるのかなと。センターを守って、積極的に振っていってという。今年、DeNAの山崎から左翼ポール際に(本塁打を)打っているのを見て、こんなに飛ばせるんだと驚きましたね(※5)」

 ――スラッターも投げる高橋がローテーションを守った。
 「投げているボールと言う意味では、持っているものを100%出せている投手ですよね。1年目からフォームも球筋もすごく良くて。ただ、ゴロ投手なんで(※6)守備の乱れがあると数字が伸びない投手ではありますよね。今年も防御率も2点台ぐらいかなと思っていたら3点台後半(3・78)で。球種的には速い変化球だけでは、そのタイミングで待っていれば、キレが悪くなった時、変化が悪い、コースが悪いとなった時に捉えられる。今永(DeNA)もスラッター、カット、チェンジアップで速いボールが多すぎるから、ちょっと遅いスラーブっぽいスライダーを入れてました。ダルビッシュもカットばっかりになっていた時期はあったし千賀も今年カットが良くて速いボール投げすぎたから遅めのスラーブ入れていこうとか」

 ――本人も自覚して秋季キャンプではカーブ習得を目指した。
 「高橋は相手から見ると、低めに目を付けて、カット、チェンジアップを打つか、逆方向に打つか、とかイメージを持たれている。相手の予想を外すには、あえて低めのストレート使ったり、カット、ツーシームと同じ軌道で緩急のあるカーブ、チェンジアップが欲しいですよね。僕が言うまでもなく本人が取り組んでると思いますが、相当いいものは持っていますよね。投げてるボール、いい時のハイライトを見てると、数字が伴っていない感じはしますけど、12勝、防御率2点台の力は持っています」

 ――岩崎がリリーフの柱にまで定着した。
 「ストレートの質がめちゃくちゃいいんですよね。純粋なバックスピンでジャイロ成分がほぼゼロなんだろうなと。終速はむしろ遅いと思うんです。思ってるほど落ちてこないから(ボールの)下を振ってしまうという。あれがまさに“キレ”と呼ばれるものでしょうね。プレミアでは阪神勢は選出ゼロでしたが、五輪でも期待できる投手ですよね。イメージですけど、練習でも自分のことをやって、さっと引き揚げていくような。味方にも手の内を明かさないようなタイプに見えます」

 ――先発、中継ぎ経験はあるが将来像は。
 「リリーフのままでいいと思いますね。例えば6回、7回で走者がいて丸(巨人)がいるところで絶対に抑えたいというところで適役。イニングもまたげるし、1イニングなら3者連続三振で終わってしまうような。とにかく計算が立つ投手ですよね」

 ――セットアッパー、クローザーの資質もあるか。
 「今年の状態なら絶対にできると思いますね。適性もある。複数イニングを投げている今より体の負担も減るでしょうし将来的に守護神・岩崎はアリです」

(※(1))味方の失策で投手が炎上(ファイヤー)することから、守備に不安のある陣容のこと。
(※2)メジャー通算92本塁打の方向別内訳は左翼9、左中10、中堅12、右中19、右翼42。中堅から左翼へは31本で全体の34%。
(※(3))スタントン(ヤンキース)は10年のメジャーデビューから9年連続20本塁打以上で14、17年本塁打王、17年打点王。15年は故障で出場74試合ながらチーム最多27本塁打。強肩外野手のオズナ(カージナルス)は17年に打率・312、37本塁打、124打点でゴールドグラブ賞も受賞。15年は打撃不振で打率・259、10本塁打だった。イエリッチ(ブルワーズ)は18、19年首位打者で19年は打率・329、44本塁打、30盗塁でトリプルスリー。15年はメジャー2年目で初の打率3割。15年のボーアは23本塁打がチーム2位、73打点が同1位。
(※(4))大村直之。育英高では3年夏の甲子園で優勝し、93年ドラフト3位で近鉄入り。左投げ左打ちで俊足堅守の外野手。1メートル73と小柄ながら01年は1番打者として打率・271、16本塁打でリーグVに貢献。06年最多安打賞、ゴールデングラブ賞は3度受賞。ソフトバンク、オリックスを経て10年に引退するまで実働17年で通算1865安打を放った。
(※(5))4月25日(横浜)、2―3の9回2死一、三塁、カウント1ストライクからの直球を逆方向の左翼席へ運ぶ4号逆転3ランでチームも勝利。
(※(6))共同通信デジタル「翼」によると、今季100イニング以上を投げた12球団の39投手で、高橋のゴロ率は61%で3位。トップは青柳の64%、2位はガルシアの63%で上位3人を阪神勢が占めた。

 ◆お股ニキ(おまた・にき)生年月日、出身地は非公表。「ニキ」はネット用語で「兄貴」の意味。本格的な野球経験は中学の部活動までながら、独特の視点で選手や球団を分析する「つぶやき」が人気を呼び、ツイッターのフォロワーは2万人超え。ダルビッシュら現役選手から助言を求められることもあり、連絡を取り合っている選手は多い。ツイッター上でダルビッシュに伝授した「お股ツーシーム」が大きな話題を呼んだ。サッカー観戦も趣味でレアル・マドリードの大ファン。11月には2作目の著書「なぜ日本人メジャーリーガーにはパ出身者が多いのか」(宝島社新書)を発売。

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