新井貴浩氏 新人たちへ――入ってからはドラ〇なんて関係ない

[ 2019年12月3日 08:30 ]

広島の新入団選手発表会見。(前列左から)1位の東出輝裕、松田耕平オーナー、達川光男監督、2位の井生崇光(後列左から)3位の矢野修平、7位の酒井大輔、5位の小山田保裕、4位の森笠繁、6位の新井貴浩、8位の広池浩司(1998年撮影)
Photo By スポニチ

 【新井さんが行く!】プロ野球界は新入団選手の発表の季節。晴れの日を迎えた若者たちのワクワク感はよく分かる。21年前の12月の新入団発表。とにかく緊張したことを覚えている。広島に生まれ育ち、カープのユニホームを着ることは小さい頃からの夢だった。その夢がかなった。

 プロ野球選手になれたことで、ゴールテープを切った気持ちだった。本当はスタートラインに立っただけ…。翌春のキャンプが始まって、すぐ目が覚めた。投球もスイングもプロのスピード感に衝撃を受けた。何とか先輩たちに近づき、追いつきたいと必死だった。

 当時と違ってアマチュアのレベルが高くなった。昔は珍しかった球速140キロを超える投手が、今の強豪校では当たり前で、150キロを超える投手もいる。対戦する打者も力が付く。トレーニングも多様化して体格もいい。代表例が広島・小園だ。卒業式前だった今春キャンプで1軍選手に交ざっても見劣りしなかった。高卒だから数年は体づくり…ではなく、1年目から勝負できる選手が少なくない。

 ドラフト6位入団でも何とか現役を20年間やれた。入った後は何位だったかなんて関係なくなる。差があるとすれば、上位指名の方が少し優先的にチャンスが与えられる程度。そのチャンスを生かせるかどうか、最後は自分次第だ。下位でも、育成でも、横一線のスタートだと思ってやってほしい。

 逆に上位指名の選手たちに負けたくない…と変に発奮した記憶もない。厳しい練習に付いていくのに必死。下手くそでも、とにかく元気だけは出した。同じ力量なら元気のある方を「使いたい」と思ってくれると信じたからだ。新人選手のみんなが大きな可能性を持っている。何年か先、子供たちに夢を与えられる選手に成長してくれることを楽しみにしたい。

続きを表示

2019年12月3日のニュース