侍J決勝王手!坂本2番でお目覚め3安打「ホッとした」稲葉監督の密室直接指導に応えた

[ 2019年11月14日 05:30 ]

第2回WBSCプレミア12スーパーラウンド第3戦   日本3ー1メキシコ ( 2019年11月13日    東京D )

6回1死一塁、坂本勇は左前打を放つ(撮影・沢田 明徳)
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 侍ジャパンは13日、スーパーラウンド第3戦でここまで全勝のメキシコを3―1で下して3勝1敗とし、17日の決勝進出へ王手をかけた。初黒星を喫した前日の米国戦から打順を大幅変更。2番に入った坂本勇人内野手(30)が初回に先制点の起点となる左前打、2回に3点目となる左前適時打を放つなど3安打で勝利を呼んだ。侍ジャパンは14日、15日は試合がなく、16日に同ラウンド最終戦の韓国戦に臨む。

 一塁ベースに到達すると、坂本勇はすぐさまベンチを見た。仲間が笑顔で、両手を掲げて大喜びしていた。胸が熱くなる。思わず両手を上げた。ガッツポーズ。この姿を誰もが待っていた。2回1死一、二塁で左前適時打。今大会初打点は、完全復活の証だった。

 「昨日チャンスでいい打撃ができずに迷惑を掛けた。どんな形でも走者を還したかった。ホッとした」

 チームは最大の危機に直面していた。菊池涼が首の違和感で欠場。すでに1番・秋山も離脱し、本来の1、2番を欠く緊急事態で、巨人で慣れ親しんだ2番に入ったのが坂本勇だった。前夜は4打数無安打3三振。試合後は無言で球場を後にした。雪辱の思いをバットに乗せる。初回1死で左前打。すぐさま二盗を決め、鈴木の適時打で先制のホームを踏んだ。「2番として出塁できて、点に絡めて良かった」。6回にも左前打。3安打したのは、レギュラーシーズン中の9月11日以来だった。

 「Hのランプが付いた。打者として気持ち的にも楽になった」。苦悩の日々。それでも稲葉監督は我慢を重ね起用し続けてくれた。これまでも何度も助言をもらい、この日も直接指導を受けた。フリー打撃を終えると山田哲と3人でブルペンへ。守備練習も行わず、密室での超異例の極秘指導だった。約10分。「見逃す時の形とか、いいアドバイスを頂いた」。さらには外国人特有の動くボールに対応しようとステップ幅も工夫。結果を導き出した。

 前夜は打線のつながりを欠き米国に惜敗。指揮官は即座に、迷わず決断した。4番・鈴木以外の8人の打順をチェンジ。その「肝」こそが2番・坂本勇だった。「慣れているポジション。何とか勇人につないでほしかった」と稲葉監督。さらには本人が、不振でもウエートトレなどを黙々と、懸命に続ける姿を見てきた。「そういう努力は野球の神様も見ているから」。勝負手は吉と出た。

 試合前のミーティング。稲葉監督は「声を出して、ワイワイやろう!」とナインを熱く鼓舞した。下を向くな、前へ――。そんな指揮官の熱意と愛情に応えた坂本勇の3安打。トップチームでは、09年WBC以来の世界一へ、チームに欠かせない男が覚醒した。(鈴木 勝巳)

 《15日メキシコ負けor16日韓国に勝利で決勝進出》○…決勝進出の可能性があるのは日本、メキシコ、韓国、台湾の4チーム。日本は16日の韓国戦に勝てば無条件で決勝進出となるが、あす15日に韓国がメキシコを下しても日本の決勝進出が決定。逆に韓国がメキシコに敗れるとメキシコの決勝進出が決定。16日に日本が韓国に敗れ、台湾が15、16日に連勝なら日本、韓国、台湾が3勝2敗で並ぶ。この場合成績比較などで進出チームが決定。

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