新井貴浩氏 侍ジャパン・稲葉監督の下で団結する選手の姿見たい

[ 2019年11月5日 08:13 ]

1日のカナダ戦の試合前に稲葉監督(左)と談笑する新井貴浩氏
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 【新井さんが行く!】侍ジャパンを追いかける日々だ。台湾へ行くのは、07年12月に北京五輪予選を戦って以来。懐かしいし、当時のことは鮮明に覚えている。日本代表としてのプレッシャーは言葉にできないほど大きかった。星野仙一監督から4番を任され、もし五輪に出られないようなら日本へ帰れない…と思った。滞在中は球場とホテルの往復だけ。街を出歩こうという気も起きなかった。

 あの重圧の時間を共有したのが、いま侍ジャパンを率いる稲葉監督だ。選手間では宮本慎也さんとともにリーダー格で、「日の丸のを背負う責任感をしっかり持って戦おう」と呼びかけていた。何事にも真面目、そして、気さくで優しい。大好きな先輩だ。予選では7番、本戦の北京五輪では4、5番で並んだ。勝負強い打撃で引っ張ってくれて、本当に頼もしい存在だった。

 選手、コーチとして数多くの国際大会に出場し、戦い方をよく知っている。たとえば、今回の代表には周東を加えた。選手数が限られる状況を思えば何でもできる万能型を選びたいところ。代走特化のスペシャリスト選出は勇気がいる。初見の投手が多く、連打を重ねるのは簡単ではない。実体験を踏まえ、勝負どころでは周東のような切り札が必要と考えたのだと思う。

 日本では野球に向ける期待値が高く、勝って当たり前とみられる。五輪種目に例えるなら国技と呼ばれる柔道に近いかもしれない。今回のプレミア12。1次ラウンドから強豪と同組になった。実際にやる選手の気持ちがよく分かるので簡単に「優勝を期待」とは言いたくない。一発勝負の怖さもある。チームが一丸になって必死に戦う姿を見せてくれたら、それでうれしい。

 稲葉監督も団結力のあるチームにしたいと言っていた。12年前、台湾で厳しい戦いを乗り越えたことで一体感が一段と高まった。東京五輪前では今回が最初で最後の国際大会。いい結果が出ることを願うと同時に稲葉ジャパンとしての絆が深まる大会になればいい。

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2019年11月5日のニュース