レギュラー奪取の中日・阿部、日本ハムコーチ就任の小笠原氏が“打撃の基礎”築く 改めて感謝

[ 2019年10月17日 09:30 ]

今季、レギュラーを奪取し大きく飛躍した中日・阿部
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 今季まで中日の2軍監督を務めた小笠原道大氏(45)が、来季から日本ハムのヘッドコーチ兼打撃コーチとなることが発表された。

 小笠原氏は15年に中日で現役を引退後、そのまま指導者として16年から4年間、2軍で指揮を執った。

 今年、二塁のレギュラーを奪い飛躍を遂げた阿部寿樹内野手(29)は「僕の打撃の基礎を作ってくれた方。感謝しかない」と少し寂しそうに恩師との思い出を振り返った。

 阿部が入団したのは16年。ちょうど小笠原氏が指導者へ転身した年である。明大、Hondaと強豪チームを経てドラフト5位で入団した阿部だが、当時の触れ込みは「内野ならどこでも守れる大型野手」。明大で通算0本塁打だった数字が表すように、打撃よりも守備力への評価が高かった。

 そんな阿部が入団後、ファームで小笠原氏と来る日も来る日も取り組んだのがロングティー。「入団した時、僕はバットを強く振れなかった。ひたすらロンティー(ロングティー)をやっていましたね」と懐かしむ。ロングティーはトスを上げてもらい遠くへ打球を飛ばす練習法。おのずと体を大きく使い、力強い打球を打つ技術が磨かれる。

 調子が悪くなると、適切なアドバイスを送られた。「お前は悪い時、ヒットを打とうと当てに行くバッティングになっている。結果を考えずに思い切り振れ」。フルスイングが信条だった小笠原氏に小さく縮こまらず、1メートル85の長身を目いっぱい使うよう助言を受けた。

 小笠原氏の指導を受け打撃力が向上した阿部は4年目の今季、初の開幕スタメンを勝ち取った。順調にシーズンを過ごしていたが、一時3割超えだった打率が、8月に・280を下回った。プロ入り初の規定打席に到達し、数字を意識し始めた時期だった。

 そんな頃、移動日にナゴヤ球場で小笠原氏に遭遇した阿部は「また小さくなってきてるよ」とダメ出しを受けたという。打率や安打数を気にするあまり、本来の力強く振るスタイルを忘れかけていた。

 「打率は・280あればいい」。結果を恐れず自身のスタイルをもう一度、貫く決意を固めた。終わってみれば、129試合で打率・291、7本塁打、59打点。キャリアハイどころか打率はリーグ10位と好成績を残した。

 飛躍の1年を振り返り「小笠原さんに会ってなかったら、こんなに強く振ることなく、縮こまったバッティングになっていた。土台を作ってくれた人」と改めて感謝の言葉を口にした。

 小笠原氏の現役時代の愛称は「ガッツ」。奇しくも阿部も小笠原氏同様、口元の豊かなひげを理由に「バーのマスターっぽい」として「マスター」のニックネームが付けられ、徐々に定着しつつある。

 来季、マスターがさらなるブレークを果たせば、北の大地でガッツもヒゲをさすり、喜ぶだろう。(記者コラム・徳原 麗奈)

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