イチロー氏、異例ユニホーム姿でセレモニー「シアトルのファンに見せたかった」

[ 2019年9月16日 02:30 ]

マリナーズが開催した特別功労賞授与式を終え、歓声に応えながらグラウンドを後にするイチロー氏
Photo By 共同

 ありがとう、シアトル――。マリナーズは14日(日本時間15日)、今年3月に現役を引退したイチロー氏(45=現マ軍会長付特別補佐兼インストラクター)の功績を称えるセレモニーを、ホワイトソックス戦前に本拠地Tモバイル・パークで行った。ユニホーム姿で登場したイチロー氏は約5分間、英語で感謝の思いを込めてスピーチ。シアトルのファンから喝采を浴びた。

 A4の紙を手に、イチロー氏は笑顔でマイクに向かった。2万6063人が訪れた観客席に目をやると、後方で見守るナインを振り返り「ディー(ゴードン)、雄星、今夜は泣くなよ」。引退試合で号泣した弟分2人を指さして笑いを取った。

 「(01年に)シアトルへ来た時は、それまで日本から来た野手はいませんでした。27歳で小柄で細く、無名でした。僕を受け入れられない多くの理由があったにもかかわらず、皆さんは両手を広げ歓迎してくれました。ありがとう、シアトル」

 英語のスピーチは、球団からの勧めもあり決断。「言葉はできなくても思いが伝わったら良いなと」。日本語で考えて英語に訳し、当日まで手直しを重ねて練習した。殿堂入りしたケン・グリフィー氏、エドガー・マルティネス氏らの元同僚も駆けつけた。

 大リーグで引退後の選手を称えるセレモニーは、スーツ姿で臨むのが通例。しかし、イチロー氏はユニホーム姿にこだわった。「日本で引退したから(ホームの)白いユニホームを着てシアトルのファンの前に出られなかった。その姿を見せて最後きっちり形を、と」。感謝の言葉とともに、日米通算4367安打を放った現役時代と変わらぬ体形と背番号51を披露。ここにも美学が表れていた。

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2019年9月16日のニュース