西武・山川、他球団選手が語る凄さ 日本ハム中田「場外を狙った打ち損じがホームランらしい」

[ 2019年6月26日 10:30 ]

バットを手に笑顔を見せる山川 (撮影・白鳥 佳樹)
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 昨季47本塁打で初めて本塁打王を獲得した西武の山川穂高内野手(27)が、今季も両リーグ最多の27本と本塁打と量産している。日本選手では2002年の松井秀喜(巨人)以来17年ぶりとなる目標の50本に向け、シーズン換算では55本ペース。なぜ、ここまで量産できるのか。他球団のスラッガーを中心に山川の打撃の凄さを証言してもらった。(プロ野球取材班)  

 本塁打を打てる最大の理由はパワーだ。108キロという巨漢。左足を大きく上げて勢いをつけ、全体重をボールにぶつける。同じ右のスラッガーで通算218本塁打を誇る日本ハムの中田でさえも、驚きを隠さない。

 中田 ファームと1軍を行ったり来たりしていたときから飛距離は凄かった。飛ばす力が凄い。場外を狙った打ち損じがホームランらしい。中村さんみたいなことを言うなと思った。俺らのさらに上をいっている。あの若さで、それを考えるのも凄い。

 驚がくの証言である。本塁打王6度を誇る西武の中村は「本塁打の打ち損じがヒット」と表現したことはあったが、場外の打ち損じとまでは言っていない。その西武の先輩も山川の成長ぶりに舌を巻く。「ブレないフルスイング」である。

 中村 あれだけのフルスイングをしながら、ボールを捉えるのが凄い。フルスイングをすればするだけ、ブレるというはあるけど、山川は練習から目いっぱい振っているんで。そういう練習をしているから、試合でもできるんじゃないかと思う。

 同僚の源田も同じ証言をした。

 源田 みんな「パワー、パワー」と言うけど、僕は打球を捉えるミート力が何より凄いと思う。山川さんは「芯じゃなくてもホームラン」と言っているけど、やっぱり芯周辺で捉えている。

 パワー+ミート力。それを可能にしているのが、強じんな下半身だ。元同僚の楽天・浅村が「解説」する。

 浅村 どんなに崩されても、自分のポイントで打てている。それができるのは下半身の強さ。ワンハンド(左手一本だけ)のスイングがほとんどないのも、下半身で粘れているから。

 山川は基本的に直球狙いの打者だ。ただ、変化球でタイミングをずらされても、体が前に出されないようにこらえ、極端なときは右膝をついてスタンドまで運んでしまう。

 バットは87センチ、920グラム。他の長距離砲と比較しても長くて、重い。遠心力と重さで飛距離を稼げる一方、扱うのは難しいが、日本ハムの大田は言う。

 大田 パワーもあるのに、柔らかさもある。あれだけバットが長いのに、ヘッドが走るのは柔らかさ。

 最後に豪快な空振りも特徴的だ。巨人・丸の証言が面白い。

 丸 三振しても絵になるなと。自分が西武ファンだったとしても、見ていて気持ちがいい。

 ≪阿部コーチ、ハンドリング絶賛≫山川の打撃を常に近くで見ている西武・阿部打撃コーチは「彼が素晴らしいのは(バットを操作する)ハンドリング。非常に柔らかい」。山川が操るバットは他の選手より長めの87センチ。グリップ部分が細く、重心が外側にある「超長距離打者タイプ」だ。「あのバットはなかなか扱えない。普通の選手なら軸がぶれる」と驚く阿部コーチは、「あれだけのフルスイングで、バットを操作してミートする。本当に難しいし体幹、体の強さもあると思う」と話した。

 ≪リーグ戦再開へ「ぶれずに」≫山川は25日、メットライフドームでの全体練習に参加。「バッティングは軽めでした」と言いながら、的確なミートで30スイングで7本の柵越えを放った。秋山、中村ら一部の主力選手が休養日となった中、ポール間のランニングにも汗を流した主砲。28日のリーグ戦再開に向け「今まで通りに臨む。(長いシーズンでは)いい日も悪い日もある。ぶれずにいきます」と力強かった。

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2019年6月26日のニュース