ロッテ・鈴木大地を讃えよ!2打席連発&1イニング2安打サヨナラ打 9回5点差大逆転「最高です」

[ 2019年6月17日 05:30 ]

交流戦   ロッテ8-7中日 ( 2019年6月16日    ZOZO )

9回2死満塁、バットを折りながら右前にサヨナラ2点適時打を放つ鈴木(撮影・西海健太郎)
Photo By スポニチ

 ロッテが16日の中日戦で、9回に5点差をはね返す交流戦初の逆転劇をやってのけた。この回先頭の鈴木大地内野手(29)が2打席連発の右越え10号ソロ、さらに打者一巡で回ってきた打席で右前へ逆転サヨナラとなる2点打を放った。選手会長が負ければ交流戦球団ワーストとなる4カード連続負け越しの危機を救った。

 この男の生きざまのように泥くさい打球だった。5点差から一気に6―7と迫った9回2死満塁、フルカウント。鈴木のバットは真っ二つに折れる。だが、打球は一、二塁間を抜けた。9回に一挙6得点で5点差をひっくり返す逆転サヨナラ劇。背番号7は一塁付近で両手を突き上げる。そこには幾重にも歓喜の輪が広がった。

 「本当にかっこいい人はあそこでホームランで終わるんでしょうけど、僕はバットが折れた汚いヒット。でも、勝ったことには変わりない。最高です」

 今季チーム3度のサヨナラは全て鈴木のバットから。シーズン3度のサヨナラ打は球団タイ記録だ。9回に5点差をひっくり返した逆転サヨナラはプロ野球史上でも9度目のドラマだった。

 号砲もこの男だった。9回無死、中日・田島から16年3月29日の楽天戦以来3年ぶり2度目の2打席連続となる10号ソロを放った。1死から井上、レアードの連続四球で一、二塁となると「回ってくるぞ」とベンチで9番・田村にハッパを掛けた。中村奨、藤岡の連続適時打で2点差とした2死一塁、その田村が右前打でつなぎ、荻野の四球で再び、鈴木へ。1イニング2安打目でサヨナラを決めたのは球団では83年の落合博満(野球評論家)以来36年ぶりの快挙だった。

 今季はレアードの加入で3月29日の開幕戦(対楽天戦)はスタメンを外れ、試合出場さえなかった。ただ、誰よりも早くグラウンドに入り、早出特打。試合後は必ず、室内で打ち込むその背中はチームの象徴だ。開幕戦も居残りで打ち込み、帰宅しようとした深夜、車のフロントガラスに2枚の紙が置いてあった。「僕たちは必ず、ついて行きます」と「頑張りましょう」。一人は後輩で、もう一人は差出人不明だが「試合は勝ったのに出なかった自分のことを気に掛けてくれた。手紙は宝物ですね」。昨季からキャプテン制度廃止となった中で、今季から選手会長となった鈴木に好機が巡ってくるのは必然だった。

 敗れれば交流戦ではチーム初の4カード連続負け越しだった。「不思議な感じですけど、回ってくる気がしていたんです」。ドラマでも描けないシナリオは、鈴木とナインの信頼が生んだ。(福浦健太郎)

続きを表示

この記事のフォト

2019年6月17日のニュース