打者が空振りする前にガッツポーズ!?オリックス・山本の投球動作に捕手もビックリ!

[ 2019年6月3日 09:00 ]

<オ・ソ(10)>オリックス先発・山本(撮影・井垣 忠夫)
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 オリックスは先週、1勝4敗1分と借金を3も増やして終了した。暗い話題ばかりではあるが、唯一の白星となった5月28日のソフトバンク戦では、とんでもない出来事が起こった。7回無失点の快投で、防御率がリーグトップに立った山本由伸の神業とも言える行動だった。

 その場面は1―0の5回、2死一、二塁で、釜元を迎えた場面だ。追い込んでから、最後にフォークを投げた際に、その出来事は起こった。ボールをリリースした瞬間、山本は何と投球動作の延長で、そのままガッツポーズをしたのだ。

 「ビックリしました。これまで何人も投手を受けてきたが、あんなの初めて見ました。だって空振りする前にガッツポーズしていたんですよ」

 仰天したのは捕手の若月だ。結果、釜元は確かに空振り三振に倒れるが、ミットを構え、捕球を待つ視線の先で、山本はすでにガッツポーズの動作を始めていた。捕手目線でのその光景は、確かに仰天ものだろう。

 私がその話を聞いて、すぐに思いついたのが「ゾーン」だ。集中力が極限まで達すると、周りの空気がスローモーションで流れることがあるという。これは超一流のアスリートが持つ感覚。打者ならば、ボールがスローモーションで向かってくる。確か、その話を聞いたのは、もう何年も前。阪神で現役だったころの金本さんの話だ。スローモーションで迫ってきた白球をとらえた。次の瞬間、打球は甲子園の浜風を切り裂き、ホームランとなっていた―。山本も、ゾーンに入っていたのではないだろうか。「僕もそう思います」と若月が同調してくれたので、直接聞いてみた。

 「どうなんですかね。自分ではそんな光景を見たことないし、ゾーンというのは分からないんですが、確かにあの試合はピンチの場面が多くて集中していたのはあります。ガッツポーズのことはみんなに言われました。(同い年の榊原)翼には失礼だろって、言われました。でも、本当に無意識で、変な意味はないんです」

 恐縮しながら山本は説明してくれた。確かに、彼は挑発したり、派手なパフォーマンスをするような選手ではない。おそらく、投げた瞬間に、フォークの軌道が頭の中でイメージでき、その軌道通りに進むであろうことがリリースした指先の感覚から読み取れ、釜元のバットが空を切るだろう、と瞬時に感じたのだと思う。釜元はその打席まで2三振。タイミングは全く合っていなかった。周囲で見ているチームメートも理解できなかっただろうが、私はそんな推測をしてみた。

 いずれにせよ、彼がアスリートとして超一流の領域に足を踏み入れたのは間違いないと思う。先発に再転向した今季初戦の4月3日、ソフトバンク相手に8回1死まで無安打投球をしてみたり、規格外なことが多すぎる。本当に末恐ろしい20歳だ。(オリックス担当・鶴崎 唯史)

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