阪神ドラ3・木浪 思い出神宮で初V打、強心臓や!得点圏打率・350「いいところで回ってこい」

[ 2019年5月8日 05:30 ]

セ・リーグ   阪神3-1ヤクルト ( 2019年5月7日    神宮 )

ファンの声援にこたえる木浪(撮影・大森 寛明)
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 阪神・木浪聖也内野手(24)が7日のヤクルト戦でプロ初の決勝打を放った。1点差を追いついた4回、なお1死一、二塁から殊勲の右前適時打。3試合連続安打へ伸ばし、9回にも中前打で貴重な追加点につなげた。9度目を数えた逆転勝利はセ・リーグではヤクルトの10度に次ぎ、全18勝の半分。最初のヤマ場と目された12連戦は8勝3敗の好成績で、8日の最終日を迎える。

 オレが決める――。

 強い気持ちがバットに乗り移った。同点に追いついた4回、なお1死一、二塁から木浪が1ボールから原の甘いカットボールを捉え、右前へ打ち返した。

 「同点で終わらずに一気に逆転したい場面。強い気持ちでいけた。チャンスで自分に回って来い…とずっと思っていた」

 プロ初の決勝打に胸を張る。打率2割台前半でも得点圏に限れば・350まで上昇。9回にも先頭で中前打を放って追加点の起点になった。

 応援してくれる家族に活躍を届けたかった。今月2日が母・忍さんの52歳の誕生日。当日の広島戦は同じ「8番・遊撃」で4打数無安打に終わった。甲子園球場に観戦に訪れていた両親とは直接対面することはなく、LINEで「おめでとう」と送って祝った。

 開幕前に母が書いた激励の手紙。特に心配されたのが体調面だ。社会人とプロでは試合数が全く違う。睡眠時間はしっかり取れているだろうか。そんな不安をよそに毎試合全力を振り絞っていた。ベンチでは最前列で声を張り上げ、投手が窮地の時には歩み寄って一声かける。今回の12連戦ではさすがに「疲れがたまる」と漏らしたが、勝負どころで力を発揮した。

 神宮球場は亜大時代から慣れ親しんだ舞台だ。3年秋にリーグ優勝を決めた国学院大戦後に最愛の祖母・美津子さんの訃報を知らされ、涙を流した。「見ていてくれると思うので頑張りたい」。同じ場所でプロ選手として初めてヒーローインタビューを受けた。何度も繰り返した「ありがとうございます」の感謝。応援してくれている人たちへの思いを込めた。

 「今日は良かったですけど、常にいいわけではない。試合に出ている以上は全力疾走とか、できることをやっていくだけ」。余韻に浸ることなく先を見据えた。(長谷川 凡記)

 ≪逆転の虎だ≫阪神の逆転勝利9度はヤクルト(10度)に次ぐリーグ2位の多さで、今季18勝の半分。昨季はチーム62勝の約4割にあたる24度しかなく、巨人(21度)に次いで少なかっただけに粘り強さが増している。

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