日本ハム・有原“変身”今季2勝目 必死さの中に見えたクレバーさ

[ 2019年4月15日 10:45 ]

<日・ロ3>お立ち台でポーズを取る有原とハンコック(撮影・高橋茂夫)
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 日本ハム・有原航平投手(26)が14日、札幌ドームで行われたロッテ戦に先発。7回を4安打1失点に抑える好投で今季2勝目を挙げた。5回に先制弾を浴びて今季初自責点を喫したが、許したのはその1点だけ。冷静に打者を観察するクレバーな投球で、7回のピンチも抑えて味方の逆転劇を呼び込み、チームを3連勝へ導いた。札幌ドームでは開幕から5勝1分け、いまだ負けなしだ。

 その目にはしっかり見えていた。試合の流れも打者の狙いも。0―1で迎えた7回、先頭の角中に右中間二塁打されてからが有原の本領発揮だった。

 「次の1点は展開的に厳しい。何としても0点(に抑える)という思いで投げた」

 昨年までの同僚レアードを128キロフォークで中飛。タッチアップで1死三塁となっても慌てない。鈴木をチェンジアップで二ゴロに打ち取ると、最後はバルガスをフォークで空振り三振。栗山監督が「あそこは抑えてくれると思っていた。素晴らしい」と称えたこん身の投球が、その裏の逆転を呼んだ。失点は最小限にとどめ、そして攻撃にリズムを与える。今季の有原の姿がそこにあった。

 「去年よりも冷静に投げられている。相手の打者を見て投げることができていると思います」。自らの“変身ぶり”をそんな言葉で表現する。これまでどちらかと言えば、150キロ超の直球とカットボールを全力で投げ込むタイプだった。右肩痛のため開幕投手の大役を担うことができなかった昨季は8勝止まり。それが大きな飛躍を期した今季は視野が大きく広がった。試合展開を考え、打者を観察して投げるクレバーさが生まれた。

 背景にあるのは周囲のアドバイスだ。仲間が投球リズムが一定にならないように声を掛けてくれる。中でもベテラン田中賢がいろいろな助言を送ってくれるという。「“何を狙っている”とか、打者目線で話してくれて助かってます」。この日もベンチで隣に座って田中賢の言葉に耳を傾けるシーンが毎回のようにあった。

 周囲の声をうまく取り入れて投げる。有原の成長だ。5回1死から鈴木に先制ソロを許した場面。これが今季20イニング目の初自責点だったが、直後に四球を与えた1死一塁で藤岡を二ゴロ併殺打に仕留めた。内角カットボールで狙い通りの併殺。打ち気の藤岡のバットの芯を外した結果だった。

 チームを3連勝へ導き、防御率はリーグトップの0・41。「(連勝を)止めないように必死で投げた」。そんな必死さの中に見えたクレバーさが、有原の飛躍を告げていた。(秋村 誠人)

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