大船渡・佐々木 衝撃の最速163キロ、大谷超え 令和の怪物伝説幕開け

[ 2019年4月7日 05:30 ]

<U-18侍ジャパン一次候補合宿>力感あふれる大船渡・佐々木のピッチングフォーム(撮影・後藤 大輝)  
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 令和の怪物が大谷超えだ。今夏に韓国で開催されるU18ワールドカップ(W杯)の高校日本代表1次候補による「国際大会対策研修合宿」が6日、奈良県内で行われ、今秋ドラフト1位候補の佐々木朗希投手(3年=大船渡)が紅白戦(特別ルール)に先発。高校歴代最速の163キロを計測し、打者6人から全て三振を奪った。参考記録ながら自己最速を6キロ更新し、花巻東の大谷翔平(現エンゼルス)がマークした160キロを3キロも上回った。

 あまりの衝撃にネット裏はどよめくどころか、静まりかえった。初回1死。内海を2球で追い込み、佐々木が鋭く腕を振った3球目だ。外角低めのボール球だったが、中日のスピードガンには「163」が表示された。157キロだった自己最速を6キロ更新。大谷の持つ160キロの高校最速記録も軽々と超えた。

 「(160キロは)春の時点で投げたいなと思っていたので投げられて良かった」

 甲子園には出場していないが、代表候補入り。全国トップクラスのメンバーに加わり、緊張感に襲われ「8割のつもりで投げたかったが力んだ」という。さらにW杯で使用される滑りやすい国際球にも「変化球が曲がらなくてちょっと感覚が違った」と苦しんだ。それでも「令和の怪物」と呼ばれる17歳は2回を完全。しかも代表候補入りした打者6人全員から三振を奪った。25球中、14球投げた直球は全て154キロ以上。160キロ台を4度も計測し、平均は約157キロと驚異的だった。

 昨秋から身長は1センチ伸びて1メートル90。体重も5キロ増えて86キロとスケールアップし「球速アップにつながった部分はあると思う」と胸を張る。さらに1番を務めたこともある俊足。50メートルは5秒9を誇り、その脚力による強い蹴り出しも剛速球を生んでいる。150キロ超を投げ、佐々木と西とともに「高校四天王」と呼ばれる奥川と及川でさえ「初めて見るような球だった」と口をそろえて驚く。ネット裏には日米12球団46人のスカウトが集結。ソフトバンクの永井智浩スカウト部長は「12球団競合でしょう。プロ史上一番の投手になるかも」と最大級の評価を与えた。佐々木も「プロ一本で国内です」と進路を決めている。

 冷静に自己分析する姿もあった。「今(四天王の中で)スピードしか勝っていない。制球や変化球の精度は自分にない」。それでも圧倒的なスピードボールは大きな魅力だ。大谷が持つプロ野球最速の165キロにもあと2キロまで迫った。「まだまだ雲の上の存在。一歩ずつ近づけたら。いつか超えられたらと思っている」。163キロを叩き出した自信を胸にさらなる高みを目指す。(松井 いつき)

 ◆佐々木 朗希(ささき・ろうき)2001年(平13)11月3日生まれ、岩手県陸前高田市出身の17歳。小3から野球を始める。東日本大震災の影響で大船渡市に移り住み、大船渡一中軟式野球部でプレー。大船渡では1年夏からベンチ入り。昨夏は岩手大会3回戦で敗れ、秋は岩手県大会準決勝で盛岡大付に敗れた。1メートル90、86キロ。右投げ右打ち。

 ≪プロ含めても2位≫プロ野球での最速は、大谷(日本ハム)が16年10月16日のソフトバンクとのCSファイナルステージ第5戦でマークした165キロ。9回の救援登板で計測した。先発では164キロが最速で、メジャーでは101・1マイル(162・7キロ)が最速となっている。2番目は08年の巨人・クルーンで162キロ。日本人で大谷に次ぐのは、161キロを計測した10年の由規(ヤクルト)、今季の千賀(ソフトバンク)、国吉(DeNA)がいる。

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