習志野、平成最後に千葉県勢悲願初Vへ 桜井、不調から復活V弾

[ 2019年4月3日 05:30 ]

第91回選抜高校野球大会準決勝   習志野6―4明豊 ( 2019年4月2日    甲子園 )

8回無死、勝ち越しのソロ本塁打を放ちガッツポーズの習志野・櫻井 (撮影・後藤 大輝) 
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 準決勝が行われ、習志野(千葉)と東邦(愛知)が決勝進出を決めた。夏に全国制覇を2度している習志野は、同点の8回に4番・桜井亨佑内野手(2年)が右翼席へ決勝ソロ。平成最後の大会で、千葉県勢にとっても悲願となる春王者に王手をかけた。決勝の相手は、単独最多5度目の頂点を目指す平成の初代王者・東邦で、3日午後0時半から行われる。

 浜風を切り裂き、4番・桜井のライナーが右翼席へ吸い込まれた。3―3の8回、先頭で飛び出した公式戦初アーチ。高校通算7発目が同校初、千葉県勢24年ぶりの決勝へ導いた。

 「自分はつなぐ意識だったけれど、真っすぐ高めを振り抜けた。芯を食ったから行くと思った」。普段はバットを短く持つ「つなぎの4番」だが、長打が必要な今回は長く持って、左打者に不利な逆風をはね返した。

 大阪入り前の3月16日、二松学舎大付との練習試合で本塁打を放ってから不調に陥った。「長打を狙って体が開き、内角は振り遅れ外角はドアスイングになった」。ここまでの3試合は12打数2安打。打点もない。崩れたフォームを動画でチェックし、コンパクトなスイングに修正した。そして3回2死二塁での右適時打で甲子園初打点。重圧を解き放ち、決勝弾につなげた。

 バットは友達だ。小学6年時にNPBジュニアトーナメントに出場。ロッテJr・武藤一邦監督(元ロッテ)の「どんな時でもバットを握っていろ」との教えを守り抜く。「家族で出かける時も車中に持ち込んだ。今でも朝5時半に起きて皆が練習していない時に振ったり握ったりしてます」。感覚を研ぎ澄ませ、下総みどり学園中3年時に軟式野球で日本一に輝いた。

 67、75年の夏に甲子園を制したが、春は2回戦が過去最高だった。OBには谷沢健一(元中日)、掛布雅之(元阪神)、福浦和也(ロッテ)ら偉大な左打者がいる。桜井は「自分とレベルが違う。謙虚にやっていきます」と恐縮するが、3試合連続逆転勝ちでの決勝進出に「4番は塁に出た走者をホームに還すのが仕事。あと1勝だし、勝利への欲も出てきました」と頼もしい。小林徹監督は「ここ一番で大仕事をしてくれた」と称える。「サイン盗み疑惑」を乗り越え、ナインは伝統校の新たな歴史をつくる。(伊藤 幸男)

 ◆桜井 亨佑(さくらい・こうすけ)2002年(平14)6月25日生まれ、千葉県出身の16歳。小学6年のときにはロッテJrで三塁手として全国大会に出場。下総みどり学園中3年の時には中堅手で千葉選抜入りし、全国大会優勝を経験した。好きな選手はDeNA・筒香。家族は両親、兄、祖母。1メートル80、74キロ。右投げ左打ち。

 【習志野の過去の左強打者】

 ☆63~65年谷沢健一 2年生からレギュラー定着。しなやかなバットコントロールを特徴とし、控え投手も務めた。3年夏は準決勝で銚子商に敗れ、甲子園出場ならず。卒業後は早大に進み、69年ドラフト1位で中日入団。首位打者を2度獲得した。
 ☆71~73年掛布雅之 1メートル68と小柄ながら、2年夏の甲子園では東洋大姫路戦に「4番・遊撃」として出場し4打数1安打1打点。3年からは3番打者を務めた。73年ドラフト6位で阪神に入団。3度の本塁打王に輝いた。
 ☆91~93年福浦和也 1年時から4番を務め、最速142キロの直球を武器に左腕エースとしても活躍したが、甲子園出場はなかった。93年ドラフト7位でロッテ入団。当初は投手登録だったが、野手転向。その後、首位打者を獲得し18年に2000安打を達成。

 ≪千葉県勢24年ぶり≫習志野が初の決勝進出を果たした。関東勢の決勝進出は13年浦和学院以来6年ぶり、千葉県勢の決勝進出は95年銚子商以来24年ぶり3度目。千葉県勢は春優勝しておらず勝てば初となるがどうか。習志野は09年清峰(長崎)以来の公立校優勝が懸かる。ちなみに夏は6度決勝に進出し習志野が2度(67、75年)、銚子商が1度(74年)優勝している。なお、千葉と愛知が決勝で対戦するのは初めて。習志野と東邦が甲子園で顔を合わせるのも初。

 ▼ヤクルト小川監督(習志野OB、75年度卒=3年夏にエースとして甲子園優勝)3点取られて厳しいかなと思ったけど、よくひっくり返した。決勝に行ったからには勝ってもらいたい。

 ▼ロッテ福浦(習志野OB、93年度卒)決勝進出おめでとうございます。皆さんの活躍に僕も元気をもらっています。あと一つ!習高らしく!頑張ってください!

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