元阪神・藤田太陽氏 クラブチーム指導のため会社員に 富山と東京の二重生活

[ 2019年2月8日 12:22 ]

選手に指示を出すロキテクノベースボールクラブ・藤田太陽氏
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 熱い思いとともに、新たな一歩を踏み出した。阪神、西武、ヤクルトで活躍した藤田太陽氏(39)が2月1日付けで株式会社ロキグループに入社。「経営企画室、経営企画グループ、広報・広告宣伝担当」として配属され、多忙な日々を過ごすこととなった。

 「“チームをもっと強くしたい”“もっと会社のことをアピールしたい”という思いがずっとありました。近い将来、企業チームになることがあれば、選手たちを都市対抗の東京ドームへ連れて行きたいという夢があります。そのためにも自分が同じ会社の一員となることで多くの時間を共有しながら、選手たちを育てていきたいな、と」

 言葉の端々から、揺るがぬ決意があふれ出た。2015年12月に同社が持つクラブチーム「ロキテクノベースボールクラブ」に外部コーチ兼選手として入団。チームの拠点がある富山と東京を行き来しながら、チームの強化に全身全霊を傾けてきた。

 「彼らはまだ失敗を恐れる立場じゃない。常にチャレンジしてほしい。トーナメント特有の難しさはありますが、攻撃は最大の防御ということです」

 18年からは総合コーチとして、本業の投手だけではなく、打者の指導も任されるようになった。12年間に及んだプロ野球人生。豊富な人脈から得た打撃理論を注入するだけではなく、投手目線からの配球、駆け引きを伝えることで、野手陣の強化も並行した。

 指導者としての引き出しを増やすべく、多方向にアンテナを張る。経験論を語るだけではなく、心理学を学び、4スタンス理論を提唱する広戸総一氏の下へも地道に通った。取り組みはやがて実を結び、同年9月に開催された全日本クラブ野球選手権に初出場。初戦で逆転負けしたものの、チームの歴史を塗り替えた。

 「プロでは同学年の阪神・能見、ヤクルト・石川が第一線で頑張っている。仕事と野球を全力で頑張ることで、彼らと対等に話せる自分でありたい」

 同社は東京都品川区に本社を置き、産業用精密濾過フィルターおよび濾過装置などの周辺機器を製造する株式会社ロキテクノをはじめとするグループ会社を管理統括している。環境問題、社会貢献にも積極的に取り組む。グループ会社の一つにトロイカジャパンを有しており、ドイツに本社を置くトロイカ・ブランドをはじめ、クオリティーの高いメタル・デザインウェアやヨーロッパ各国の洗練されたデザインギフトの輸入、販売を手がけている。藤田氏は企業向けノベルティの営業にも携わっていくという。

 「平日は東京、週末は富山という二重生活ですが、本当にやりがいがある。こういう環境を与えていただいた伊東会長と会社には本当に感謝しています。なんとしても恩返しをしたいし、野球を通じて会社の名前を広めていきたい」

 プロでの現役時代はたびたび故障に見舞われならがも、不屈の闘志で困難を乗り越えてきた。フィールドは違えど、物事に向き合う真摯な姿勢は変わらない。力強く、逞しく、大いなる未来へ向かって――。力の限りを尽くす戦いが始まった。

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2019年2月8日のニュース