中日・松坂、悩み抜いた末の決断 後輩からの合同練習ラブコールを断ったワケ

[ 2019年1月27日 09:15 ]

中日の松坂大輔投手
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 中日の松坂大輔投手は言葉を絞り出した。「ずっとどうしようか悩んできたのですが、今は自分に時間をしっかりとかけたい。本当に悩んだ上で、次の機会にしようと(2人には)連絡しました」。このオフ、巨人の20歳右腕の高田萌生投手、自らと同じ右肩の不安を抱える楽天・安楽智大投手から合同練習のラブコールを受けていたが、苦渋の思いを伝えた。

 「誰かと一緒のメニューでトレーニングをすることができない」と話す。常に1人で考え、自分の時間で動いてきた。今回の米ロサンゼルスでの自主トレも、あえて他の日本選手が同地で行う時間を外して、孤独に練習を重ねた。ソフトバンク時代に右肩の故障で3年間投げられなかったから、その強化のための練習は長い。肩周りから始まり、肩と連動する部位、体全体の強化までメニューは多岐にわたる。日本に戻れば、肩周りのチェックのために複数の治療院に通う。限られた時間で伝えられることは少なく、中途半端な形にしたくない。「機会があれば、どこかで食事しながらアドバイスできれば」と話した。

 例年以上に繊細に自らと向き合っている。「去年はシーズン中に疲労がきた。今年はないようにしたい」。ブルペン入りもセーブし「2月中にシート打撃に投げられれば」と春季キャンプでの超スロー調整を思い描く。昨年6勝を挙げてカムバック賞を獲得したが、体は悲鳴を上げた。投げられることを証明する必要があった昨年は1月の入団テスト、春季キャンプと、休みなく投げた。シーズンは10日以上の間隔を与えてもらって投げたが、疲れがきた。今年は投げられることは分かっているから、シーズンに力を残すべく段階を踏む覚悟だ。

 「中6日で先発ローテーション」が最終目標だが、一足飛びにはいかないことを自覚している。「任された試合をまずはしっかり投げられるようにしないといけない」。その積み重ねの先に、理想に近づけると考える。

 「自分と向き合いながら心と体を仕上げていきたい」と言う。プロ入りしてからチームのために無理を重ね、周囲に気を配ってきた右腕が、例年以上に自分に目を向ける。その覚悟を見守りたい。(記者コラム・倉橋 憲史)

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2019年1月27日のニュース