浅村 独白!決断「楽天の力になりたい」金銭面より“男気”FA

[ 2018年11月21日 05:30 ]

西武で5年間同僚だった石井GM(右)と浅村
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 西武から国内フリーエージェント(FA)権を行使した浅村栄斗内野手(28)が楽天への移籍を決断したことが20日、分かった。この日、宣言残留を認めていた西武と獲得交渉を続けていたソフトバンクに断りの連絡を入れた。21日にも楽天から正式に発表される。大きな決断を下した今オフFAの目玉選手が、スポニチ本紙に決断の理由を激白した。

 FA権の行使を表明してから2週間――。悩み抜いた末に、浅村は新天地での挑戦という結論にたどり着いた。

 「楽天でお世話になることに決めました。本当に悩みました。今までの人生でここまで悩んだことがなかった。西武には本当に感謝している。でも、新しい環境でチャレンジしたいというのが一番の理由です」

 自らを育ててくれた西武への恩義が常に頭の中にあり、残留も視野に入れていた。一方で、プロ10年目で手にした権利を無駄にしたくなかった。残留か、移籍かのはざまで何度も心が揺れ動いた。

 「環境を変えることで、野球選手として一回りも二回りも成長できるんじゃないかなと考えるようになった。野球人生で何度もないチャンス。後悔だけはしたくなかった」

 今季は主将としてチームを10年ぶりのリーグ優勝に導き、打率・310、32本塁打、127打点をマークして2度目の打点王に輝いた。楽天以外に、日本一のソフトバンクやオリックスも獲得の名乗りを上げた。マネーゲームに発展し、西武は19日の交渉では3年15億円から4年20億円に条件を見直した。楽天は4年総額25億円超の大型契約を用意し、ソフトバンクはそれを上回る条件を提示したもようだが、魅力を感じたのは「金銭面」ではなく「環境」だった。

 「体制が大きく変わって、新しいチームに生まれ変わろうとしている。常勝軍団になるために必要だと言ってもらえたし、自分がフィットするイメージができた。最後は“このチームの力になりたい”という気持ちが強くなっていった」

 かつて西武で5年間ともにプレーし、今回の交渉役を務めた石井一久GMからFA移籍の経験から得るものを伝えられたことも大きかった。岸、渡辺直と西武時代の同僚がおり、新天地で相談できる存在がいるという点もプラス要素になった。

 「本当に移籍していいのか迷ったし、何が正解かをずっと考えていた。でも、気持ちは固まった。いずれ“あの決断が正解だったんだ”と思えるように自分が頑張るだけ」

 リーグ優勝から最下位チームへの移籍。進むべき道を決めた男の言葉からは、迷いは感じられなかった。球界を代表する強打の二塁手は、杜の都からさらなる高みを目指す。

 ◆浅村 栄斗(あさむら・ひでと)1990年(平2)11月12日生まれ、大阪府出身の28歳。大阪桐蔭では3年夏に甲子園で優勝し、08年ドラフト3位で西武入団。3年目の11年から頭角を現し、13年5月に初の4番出場。同年は110打点で打点王を獲得した。14年以降は二塁手に専念。17年から主将に就任し、今季は球団新の127打点で2度目の打点王を獲得。1メートル82、90キロ。右投げ右打ち。

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