矢野謙次氏 持ち前の「人間力」を生かし、どのような選手を育てるのか楽しみ

[ 2018年11月18日 11:00 ]

引退セレモニーで「ファイターズ、最高!」と絶叫する矢野謙次氏
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 巨人、日本ハムでプレーし、魂のこもったプレーで人気を集めた矢野謙次氏(38)が、来年2月から日本ハムと業務提携を結ぶレンジャーズにコーチ留学することが決定した。英語も堪能ではない中での単身渡米。「言葉は自分で飛び込んでいけば何とかなると思う。気合で行く」と笑わせつつ「今回この話をいただけてうれしかった。将来のことはまだわからないけど、こんな機会はなかなかないので興奮している」と目を輝かせた。

 現役時代から人柄の良さと愚直に野球に打ち込む姿勢でチームメートからの信頼が厚かった矢野氏。チームメートの言葉がいかに周囲から慕われていたかを表している。同じ外野手だった日本ハム・西川は、公私で矢野氏を尊敬。「矢野さんは何事にも真剣で、ゼロか100かの人間。情熱というものを感じた。ああいうコーチがいればみんなついて行く。自分がやっていないことを(コーチから)やれと言われても選手はついていかない」。指導者としての今後に太鼓判を押す。

 シーズン途中にロッテからトレードで加入した左腕・藤岡は「矢野さんがチームに入りやすい雰囲気をつくってくれた」と感謝する。藤岡が移籍して間もない頃。藤岡が練習中にグラウンドにいると、矢野氏が「おいフジ、元気ねーぞ」と周囲にも聞こえるように左腕いじったことがあった。「そこから後輩にもいじられたり、和やかな空気をつくってくれたおかげで溶け込みやすかった」という。自身も巨人からトレード移籍を経験した境遇。藤岡は「やろうと思ってもなかなかできることではない。人柄ですね」と頭を下げた。

 監督として矢野氏とともに戦った栗山監督は、矢野氏の現役時代から変わらぬ準備力に感銘を受けた。矢野氏が若手を対象とした座学で講師役を務めたときのこと。コーチとしての第一歩で「人間力が大事」などと熱く語った講義内容に「相当準備してくれたんだと思う。素晴らしかった」と絶賛。矢野氏は「人に話をするのだから準備するのは当たり前ですよ」とさも当然といった様子だったが、講義を受けた清宮は「人間力が野球につながってくると言われた。誰よりも準備を怠らないのが一流選手。逆に一流だからこそそういう姿勢があるんだと思った」と話した。

 「(米国では)毎日パンでも大丈夫」と笑う矢野氏。現役時代は多くの仲間から信頼された矢野氏が、今度は名指導者としてどのような選手を育てるのか楽しみだ。(記者コラム・東尾 洋樹)

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2018年11月18日のニュース