阪神ドラ1近本(4) 右肘骨折もなんの 鉄人級のド根性

[ 2018年11月14日 10:00 ]

ドラ1近本光司外野手(24=大阪ガス)(4)

15年、関学大時代の近本。野手転向し、ベストナインにも輝いた
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 【ドラフト指名選手 矢野阪神の1期生】近本光司外野手(24=大阪ガス)が期待に胸を膨らませて関学大に入学した2013年春。投手として入部したが、その層の厚さに当初は埋もれたままの存在だった。当時部員は200人近く。投手だけでも60人近くいた。竹内利行監督(当時)にとっても印象の薄い選手だった。「入学当初の印象がほとんどありません…」。それもそのはず。同期の投手は一戦級の投手がそろっていたのだ。

 中内(王子)、後藤田(シティライト岡山)の両右腕に、左腕の佐藤(三菱重工神戸・高砂)がいた。特に中内や後藤田は下級生の頃から台頭。さらに、1学年上には当時絶対的なエースだった宇都宮(SUBARU)がいた。肩肘の故障に悩まされた2年間。食い込む余地がないほど厚い投手層も野手転向のきっかけになった。

 OBや関係者から打者向きとの評価を伝え聞いていた竹内監督もその才能に驚いた一人だ。「3年春の開幕前のオープン戦で起用すると、よく打つんですよ。ミートがうまく、追い込まれてから逆方向へ打てる。足も速かった」。野手転向後最初のシーズンだった15年春から主力となり、打率・379でリーグ3位。ベストナインも初受賞した。

 16年秋の立命大戦では東(DeNA)からソロ本塁打を放った。巨人の畠(近大)ら同じセ・リーグで戦うことになる好投手に強かった。勝負強さと同時に、竹内監督が評価するのはその実直な人柄だ。「まじめ一徹。自分のことにコツコツ向き合うタイプでした。受け答えもしっかりしている。このまま会社勤めなら、いいサラリーマンになりますよ」

 仲間を驚かせた試合がある。最終学年を迎えた16年春のリーグ開幕・立命大戦。8回終了時点で、関学大は東に無安打に抑え込まれていた。1点を追う9回。先頭の代打が右前打を放ち、1番・近本に打席が回ってきた。左前打で好機を広げ、2死から4番の右前打でサヨナラのホームを踏んだ。実はこの日の試合で一塁へ駆け込んだ際に転倒。右肘を骨折していたのだ。

 鉄人級のハートも魅力の一つだろう。「リーグ戦で対戦する度に嫌でした。パワーもあって、投手の左右も関係ない。嫌らしさが常にありました」と東。入団初年度の今季に11勝を挙げた左腕は早くも近本を警戒している。

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2018年11月14日のニュース