根尾 文武両道の秘密は読書 父から毎月届く20冊「気になるタイトルは読みあさる」

[ 2018年10月26日 08:30 ]

18年プロ野球ドラフト会議 ( 2018年10月26日 )

中日に1位で指名され、会見で笑顔を見せる大阪桐蔭・根尾(撮影・北條 貴史)
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 今ドラフト会議で最多タイとなる4球団競合の末、中日が交渉権を獲得した大阪桐蔭の根尾昂(あきら、18)は、学校の成績も優秀と文武両道の“二刀流”としても知られる。それを形づくるのが趣味の読書。根尾の活躍で今後“愛読書”にも注目が集まりそうだ。

 野球部の寮に父親が毎月20冊の本を送ってくるほどの読書家。「気になるタイトルは読みあさる」というだけあり、ジャンルは多岐にわたる。これまでのインタビューでは「メジャー直結練習法」「中南米野球はなぜ強いのか」の野球関連に加え、ビジネス書の「思考の整理学」や「論語と算盤(そろばん)」など高校生離れした作品を挙げている。

 愛読書の一つ、1916年に発行された「論語と算盤」は幕末から昭和を駆け抜けた実業家で近代資本主義の父・渋沢栄一の著書。ビジネス人の必読書ともいわれ、人を磨くことと利益追求を両立させるという考え方を後世に伝えた作品。インタビューで根尾は「質の高い勉強をすると集中力が高まる。それが、勉強や野球に生きている」「どこに一番があるか分からない。できることは全部やった方がいい」とするなど多大な影響を受けている。

 また「思考の整理学」は1983年に単行本が刊行され、現在は116刷で226万部超のロングセラー。著者・外山滋比古さん(94)が時代に左右されない自身の独特な洞察力を記したもので、東大や京大で学生に一番読まれた本として知られている。外山さんは出版元の筑摩書房を通じて「スーパースターの根尾くんと『思考の整理学』がつながっているなんて、こんなうれしいことはない」とコメントを寄せた。

 根尾の両親は岐阜県飛騨市にある診療所に勤務する医師。兄は医学部、姉は看護師。根尾は最高偏差値70とされる大阪桐蔭で運動部員では一番成績の良い生徒が集まるクラスに在籍し、成績はオール5に近い。スキーの腕前も一流で、中学時代にはスキーの全国大会で優勝経験を持つ。

 根尾の愛読書リストを見て、出版関係者は「本の選択が各分野の王道の一冊。本物を見る目があるなと感じる」とうなるほど。これを読めば人生の幅が広がることは間違いない。

 ≪父・浩さん「出発点」母・実喜子さん「成長を」≫父母会会長も務める根尾の父・浩さん(52)、母・実喜子さん(51)も感激の面持ちで会見を見守った。浩さんは「やっと出発点に立てたと思う。果たすべき役割を果たし、邁進(まいしん)してほしい」と話し、実喜子さんも「厳しい世界。焦らず、さらに成長してほしい」とエールを送った。昂の名前の由来は「上に向かってたくましく成長してほしい」との願いが込められている。プロで超一流の目標を掲げる息子をサポートしていく。

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