大阪ガス・近本は“赤星2世” 阪神初の社会人外野手1位

[ 2018年10月26日 05:30 ]

18年プロ野球ドラフト会議 ( 2018年10月25日 )

阪神から1位指名されバットを手にポーズを決める大阪ガス・近本(撮影・岩崎 哲也)
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 練習後、スーツに着替えた近本は大阪ガス今津グラウンド(西宮市)本部席のテレビの前にいた。すでに1位入札は終わり「自分はまだ先だな」とゆっくりしていた。だから「阪神1位」に「そりゃあもう驚きました」とあわてて会見場に向かった。「まさか1位とは思ってませんでした」

 1メートル70と小柄で50メートル走5秒8、一塁到達3秒9の俊足外野手。同じタイプで「赤星選手が一番の目標」、そして「小さい体でもプロでやっていけると夢や希望を与えたい」と大志を抱く。

 7月の都市対抗で初優勝した主軸。打率・524で首位打者、MVPにあたる橋戸賞を受賞。8月のアジア大会日本代表(侍ジャパン)に初選出された。

 ただ、特別目立った存在ではなかった。投手兼外野手だった社高時代は甲子園出場とは無縁。関学大では2年まで投手だったが登板機会に恵まれず外野手に転向した。「すごい分岐点となった。自分で踏ん切りをつけた」

 俊足に好打が際立ち3年春にベストナインとなった。当時の大阪ガス監督(現副部長)の竹村誠さん(57)が「プレーに余裕、雰囲気、存在感があった」と目をつけ、勧誘した。「野手として4シーズン目だが、けがもあり、あまり知られていなかった」と隠れた逸材、小さな大器だった。

 今春3月に淡路・東浦中の同級生、未夢さん(23)との婚姻届を提出。すると4月の岡山大会で首位打者となり「プロでやれるかなと思い始めた」。12月1日には結婚披露宴を控え、阪神1位としてダブルの祝宴となる。

 今秋9月15日には鳴尾浜で阪神2軍と練習試合を行った。当時2軍監督だった矢野監督の前で5打数2安打している。「ヒットの後、盗塁したのですがアウトになってしまって」とアピールになったかは分からない。

 それでも「矢野監督の掲げる超積極野球を体現できる選手になれると思う」と売り込んだ。「今年のウチも積極野球で、アウトになってもいいからどんどん走っていった。失敗から学べることが多かった。矢野監督の超積極野球と似ていると思います」

 社会人外野手の阪神1位は史上初。目標は「新人王、そして盗塁王」と言い、「外野陣に割って入りたい」と即戦力としてレギュラー獲りを誓った。(内田 雅也)

 《阪神1位・近本アラカルト》

 ◆結婚 淡路市立東浦中の同級生、未夢(みゆ)さん(23=歯科衛生士)と今春3月24日に婚姻届を提出。12月1日、神戸で結婚披露宴。

 ◆料理 妻の帰りが遅い時は2人分の夕食を作る。24日もポトフとギョーザを作った。妻の手料理は「何でもおいしいが、ポテトサラダが好き」。

 ◆恩師 会見で「基礎から教えてくれた」と東浦中時代の野球部監督、巽史明先生(社会科教諭)と「僕を見いだしてくれた」と大阪ガス前監督、竹村誠現副部長。

 ◆後輩1位 楽天1位の辰巳(立命大)は社高の2年後輩。「大学も同じリーグでよく話をする。ライバルとは思っていない」

 ◆橋戸賞男 都市対抗で橋戸賞を受賞した選手が新人で阪神入りするのは1979年ドラフト外の大町定夫投手(当時新日鉄光)以来39年ぶり。

 ◆初の野手 大阪ガスのドラフト指名は昨年の岸田(巨人)に続き14人目。過去は皆バッテリーで野手は初めて。阪神では能見、小嶋に続き3人目。

 ◆父と兄 野球を始めたのは8歳。同じく野球をしていた父親と兄2人の影響。

 ◆座右の銘 「毎日を大切に過ごす」

 ◆職場 大阪ガス法人住宅営業部で兵庫県を担当。

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