日本ハム 地域に寄り添った15年 少女のうれし涙は職員が積み重ねた努力のたまもの

[ 2018年8月16日 10:30 ]

参加者たちとゴミを拾う稲葉SCO(撮影・高橋茂夫)
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 その少女は喜びのあまり顔をくしゃくしゃにして泣き出した。近くにいた母親も涙を流し、愛娘を抱擁。周囲の温かい拍手が親子を包み込んだ。

 今月10日、日本ハムは2010年9月に発足して今年で9回目となる「キープ!クリーンウォーターエコプロジェクト」として北海道札幌市を流れる豊平川河川敷の清掃活動を行い、記者も取材を兼ねて参加した。「ホクレン農業協同組合連合会」との協力で北海道の美しい自然ときれいな水を守る環境活動の一環。球団からは竹田憲宗社長と侍ジャパンの監督も務める稲葉篤紀SCO(スポーツ・コミュニティー・オフィサー)も参加し、一般参加の80名とともに約1時間、45リットルの袋で9袋ものゴミを集めた。

 心温まる光景が生まれたのは清掃活動後に行われた抽選会だった。参加者に対してさまざまな景品が用意された中、母親とともに参加した小学生の少女は札幌ドームの試合観戦チケットが当選。司会者のインタビューにも答えることができないほどの号泣だった。竹田社長も「あんなに涙を流して喜んでもらえるのは、こちらとしても本当にうれしい。あらためて夢や感動を提供するチームであり続けたい、と思った」と感動の表情。記者も涙腺が崩壊する寸前だった。

 今年は日本ハムが2004年に東京から北海道に本拠地を移転して節目の15年目となる。今回の活動はもちろん179市町村応援大使やベースボールアカデミーなど道内全域で地道な活動を続け、チームも移転後から昨季までの14シーズンで実に5度のリーグ優勝と2度の日本一を達成。「道民球団」としてファンの心をつかんでいる。

 移転当初は全国的に人気があった巨人や準フランチャイズとしていた西武のファンも多かった。移転元年の開幕前、札幌駅前で球団職員がチームの日程表を配布。その多くが道に捨てられ、職員は悔し涙を流しながら回収したという。地域に寄り添い、ともに歩いた15年。少女が流したうれし涙は、職員たちが積み重ねた努力のたまものだ。(記者コラム・山田忠範)

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2018年8月16日のニュース