石井一久氏 米で進化した平野のフォーク 回転数が示す「落ち幅」

[ 2018年6月20日 10:00 ]

<エンゼルス・ダイヤモンドバックス>7回途中から登板したダイヤモンドバックス・平野(AP)
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 【石井一久氏クロスファイア】ダイヤモンドバックスの平野が、連続無失点記録を20試合に伸ばした。防御率は堂々の1・42。ナ・リーグ西地区で首位を走るチームの原動力となっている。

 平野のウイニングショットといえば、フォークボール。オリックス時代から武器にしていたが、僕が見る限りでは、メジャーに行って落ち幅が大きくなったように感じる。感覚的に日本よりもやや大きくて重いメジャーのボールがマッチしているのだろう。もしかしたら、握りを工夫しているのかもしれない。

 「落ち幅」に関係する数値として、1分間当たりの平均回転数がある。最近、日本でもよく使われる指標だが、真っすぐの場合は高ければ高いほど重力に逆らって進むので、伸びていく感じになる。一方、フォークやチェンジアップはその反対で、回転数が少なければ少ないほど落差が大きくなる。スタットキャストのデータによると、平野の回転数は1200で、今季150球以上、スプリット(フォークを含む)を投げている投手12人中、下から3番目だという。ちなみに、ヤンキースの田中は1428回転、エンゼルスの大谷は1306回転。メジャーの投手は速くて沈むスプリットが多いが、平野はいわゆる「フォーク」だ。

 しかも、落ち幅に関して、平野は空振りを取るフォークとゴロを打たせるフォークを使い分けている。投げミスも少なく、日本時代から体に染みついている投球術だろう。見逃せないのは、真っすぐでファウルが取れていること。被打率を見ても、フォークの・135には及ばないものの、真っすぐも・208と低い。メジャーでは決して速い部類ではない150キロ前後の真っすぐでも打者を差し込めているので、フォークがより生きる。

 これだけ成績を残すと、相手チームも徹底的に研究してくる。ダイヤモンドバックスの先発陣は決して駒がそろっているわけではなく、今後も平野の出番は増えるはず。これから夏場にかけては疲労がたまり、バテてくる時期。平野の出来はチームの命運を握っていると言っても過言ではない。 (スポニチ本紙評論家)

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2018年6月20日のニュース