打者・松坂 日米20年目初マルチ G坂本勇からもらったバットで快音

[ 2018年5月21日 05:30 ]

セ・リーグ   中日6―1阪神 ( 2018年5月20日    ナゴヤD )

<中・神>5回2死一塁、左前打を放つ松坂(撮影・成瀬 徹)
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 中日の松坂大輔投手(37)が20日、阪神戦で6回3安打1失点の好投で2勝目を挙げた。打撃では日米プロ20年目で初となる2安打をマーク、二刀流の活躍を見せた。右ふくらはぎの張りで緊急降板した13日の巨人戦から今季初の中6日での登板だったが、横浜高で甲子園春夏連覇を果たした98年生まれの阪神・才木との先発対決に貫禄勝ちした。

 ベンチも、松坂も本気だった。6回を投げ終えた時点で首脳陣から降板を告げられたが、同時に裏の攻撃で打席に立つよう指示された。打撃用レガースをつけ、出番を待った。7番・亀沢で攻撃が終了し4打席目は回ってこなかったが、この日の打者・松坂はそれだけの衝撃を残した。

 「監督からバッティングを期待されて獲ってもらったので、やっと打てて良かった。ようやくヒットが出てホッとしましたね」

 4回の第2打席は先頭で才木の142キロを左前打し、日本球界で12年ぶりの安打を放つと、5回2死一塁ではスライダーを左前に運んだ。複数安打は日米通じプロ20年目で初めて。「感覚的に使いやすかった」と巨人・坂本勇から譲り受けたバットで快音を響かせ、3万6180人の観衆をどよめかせた。

 DH制のないセ・リーグに初めて移籍、ここまで登板4試合で6打数無安打だった。一方、高校の後輩・柳は8日のヤクルト戦で2安打。「毎日のように“松坂さん僕2本打っています”と言われるので、追いつけて良かった」と胸をなで下ろした。

 13日の巨人戦は右ふくらはぎの張りで、3回途中41球で降板し、すぐに中6日を志願。この1週間は「サプリや水分の取り方とかいろいろ変えた」とケアを尽くした。患部はテーピングをグルグルに巻き、さらに、張っていた内転筋にもテーピングを施してのマウンド。初回先頭の植田にセーフティーバントでとっさの動きとなったが、アウトに仕留め、乗った。

 5回まではカットボールを中心に1安打。6回、1点を奪われなお1死二塁のピンチ。福留をカウント1―2と追い込むと、内角のボールからストライクゾーンに入る「フロントドア」といわれるシュートで見逃し三振に仕留めた。「今季は、ほぼ使ってなかった」という球種、軌道。勝負どころで「引き出し」を広げて、最少失点で切り抜けた。

 37歳が二刀流全開でチームを約1カ月ぶりに4位へ引き上げた。森監督は「若い連中がこれを見て感じてくれるかだ」と言った。次回は交流戦開幕となる29日からのオリックス3連戦が濃厚だ。 (徳原 麗奈)

 ▽98年夏の甲子園での松坂の打撃 2回戦・鹿児島実戦、準々決勝・PL学園戦、準決勝・明徳義塾戦、決勝・京都成章戦と6試合中4試合で4番を務め、鹿児島実戦では杉内(現巨人)から左越え本塁打。準々決勝以降は3試合連続でマルチ安打を記録した。同大会では27打数10安打、打率.370をマーク、「エース」そして「4番」としても存在感を示し横浜の春夏連覇に貢献した。

 《ワールドシリーズでも安打》松坂(中)が4回に今季初安打を放つと5回にも安打。自身の安打はメッツ時代の14年6月26日(日本時間27日)のパイレーツ戦以来。日本では西武時代の06年6月9日阪神戦(左中間本塁打)以来で、日米通算14安打(日本通算7安打)となったが、複数安打は日米通じ初めてだ。なお、レッドソックス時代の07年ワールドシリーズ(WS)第3戦では2点適時打。日本投手唯一のWS安打で、レ軍投手のWSでの2点適時打は、1918年のベーブ・ルース以来89年ぶりだった。

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