東京六大学初の女性主務 慶大・小林由佳さん「空気になって」開幕 勝利に「安心しました」

[ 2018年4月14日 16:08 ]

<慶大・東大>初回1死二、三塁、嶋田が先制の2点左前適時打を放ち、大久保監督(中央)、中村(右)とともに喜ぶ慶大・小林由佳マネジャー
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 目立たず控えめにベンチ前に整列した。1925年に東京六大学野球連盟として発足以来、同リーグ初の女性主務に就任した慶大・小林由佳さん(21)が東大戦で15−0の開幕戦勝利を見届けると、胸をなで下ろした。「安心しました。昨秋初戦は(東大に)負けただけにキチンと勝てたことは大きい」。1球ごと球種を記したスコアブックを握りしめた。

 昨季終了後、大久保秀昭監督(48)に大役を告げられた。「同期にマネジャーはいなかったけど…。普通は下級生の男子マネジャーが主務になるんですけど、私に任せてもらった」。創部130年の伝統チームを側面から支える重責に打ち震える半面、重圧も感じた。対外試合日程調整やOBとの連絡など対外業務全般に目配せしなれけばならない。「私が失敗したら(女性主務の)後がなくなる。責任があるんだ。可能性を残せるように」。そんな気負いを見越して河合大樹主将が声をかけた。「空気になって欲しい」。小林からフッと力が抜けた。「空気がないと生きられないですよね。声を出すときは出すし、静かにするときはする。そんな存在になれれば」。ファウルボールをよけるため、他大学主務の指定席であるベンチ最前列ではなく2列目にいるのも、選手に余計な心配を避けるためだ。

 「(他校女子マネジャーとは違って)私はベンチに入れさせてもらっている。自分にしか見られない、その重み、ありがたみは感じてます」。パイオニアとしての気概は失いたくない。

 試合前、試合後はナインに主務として一言発した。「開会式があっていつもと違う試合前だけど、集中力を持って臨みましょう」。その言葉通りに先取点を奪うと、終盤も気を緩めず追加点を奪っていった。

 チームの目標は当然、リーグ戦連覇。主務としては上々のスタートを切ったが、道のりは長い。「周囲の方々が声をかけてくれるように、影響力はあると思います。最後までやり遂げたい。その時に胸を張れます」。小林さんが初めて力強く話した。

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