中日・柳 12球団完封一番乗り 横浜高の先輩・松坂と過ごす時間が財産に

[ 2018年4月11日 05:30 ]

セ・リーグ   中日3―0ヤクルト ( 2018年4月10日    ナゴヤD )

<中・ヤ>プロ初完封勝利にガッツポーズする柳
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 9回2死一塁となり、プロ初完封まであと1人。本拠・ナゴヤドームのファンから「ヤナギコール」が湧き起こる。中日・柳はバレンティンの打球を自ら処理し一塁へ送ると、右拳を力強く握った。

 「最高です!」。普段は控えめな男がお立ち台で絶叫し「一球一球、腕を振った結果」と胸を張った。今季初勝利はプロ初完投初完封。両リーグ完封一番乗りは球団では93年郭源治(カク・ゲンジ)以来25年ぶりだ。

 「“今日やられたら終わり”という気持ちでマウンドに上がった」。今季初登板の3日巨人戦。2年目右腕は本拠地開幕戦を託されたが、4回途中4失点KOされた。雪辱のマウンドで7回まで1安打。8回2死一、三塁では代打・大村を「自信を持って投げられた」という今季習得したチェンジアップで空振り三振だ。唯一のピンチも切り抜けわずか2安打。今季両リーグ最短の2時間18分で試合を終わらせた。

 明大から16年ドラフト1位で入団したが、昨季は故障続きで1勝に終わった。2年目に懸ける右腕を、春季キャンプから励まし続けたのが横浜高の先輩・松坂だ。頻繁に食事に誘ってもらい「僕らやファンに対する接し方も腰が低い。こういう人が野球がうまくてスターになると感じた」と一緒に過ごす時間を自分の財産にした。

 3月下旬のロッテとのオープン戦では同じ横浜高の先輩・涌井も交え、3人で食事に出掛けた。プロで100勝以上挙げている2人に対し、自身は1勝。「あの人たちに比べれば、僕は全然」と謙遜したが、名門でエースナンバー「1」を背負った歴史は3人とも同じ。そのプライドと養った経験をマウンドでぶつけ、チームを今季初の連勝に導いた。

 「これで満足せず、ここから気を引き締めて次に向かいたい」。この日の球数は偶然にもエース3人が並んだ「111」球。名門の誇りを胸に先輩たちに負けじと白星を積み重ねる。  (徳原 麗奈)

 ▼中日・森監督 立ち上がりを乗り切ってうまくペースに乗った。若い選手が完封して勝ってくれると、チームとしても乗りやすい。

 ▼ヤクルト・青木(同じ宮崎県出身の柳の前に2打数無安打)いいボールが来ていた。(オープン戦との違いは)イメージはそのままだけど、コントロールが良かった。僕の打席は打ち損じもあったけど。

 ▼ヤクルト・山田哲 制球が良かった。真っすぐも低めに決まって、スライダーも良かった。

 《柳 裕也(やなぎ・ゆうや)》

 ☆生まれ&サイズ 1994年(平6)4月22日生まれ、宮崎県出身の23歳。1メートル80、85キロ。

 ☆球歴 中学時代は都城シニアに所属し、日本代表として世界大会優勝。横浜高では2年春夏、3年春に甲子園出場。明大では4年に主将として春秋連覇。3年から侍ジャパン大学代表、4年の日米大学野球でMVPと最優秀投手賞を獲得。

 ☆天国の父と約束 小学6年生の時に交通事故で、父・博美さんが37歳の若さで他界。告別式では喪主を務め、プロ野球選手になることを約束した。

 ☆憧れ 松坂大輔。「小さい頃から憧れだった」と宮崎から遠く離れた横浜高への進学の決め手となった。

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