「頑張ってほしいですね」藤浪から大谷へ 短い言葉に込められた思い

[ 2018年4月11日 09:30 ]

2016年11月、侍ジャパンの強化試合で言葉をかわす大谷と藤浪
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 阪神・藤浪はエンゼルスの大谷についてあまり多くを語らない。1日(日本時間2日)のメジャー初勝利の試合も、中継ではなくニュースで見たと言い「頑張ってほしいですね」と短い言葉でエールを送った。

 周知の通り、高校時代は大阪桐蔭、花巻東の怪物投手として日本中の注目を集めた両右腕。藤浪は甲子園春夏連覇の偉業を達成し、大谷も高校生で160キロをマークして世間の度肝を抜いた。プロ入り後は一昨年11月の侍ジャパン強化試合でチームメート。その年のオフにはダルビッシュの“門下生”として都内で合同自主トレをともにしている。お互いを認め合う存在なのは間違いないはずだ。

 あくまで個人的な印象だが、藤浪にとって大谷の驚異的な活躍はうれしい反面、どこかで悔しい部分もあるのではないだろうか。今は他人のことを気にしている場合ではないと思っているようにも見える。周りがつくり上げたライバル関係に“もう高校を卒業して6年ですよ”といささか辟易気味なのかもしれない。いずれにせよ、クールに見える反応は彼のプライドの表れだと思うし、それがプロのアスリートというものだろう。

 投手としての潜在能力が勝るとも劣らないのは、あえて言うまでもない。侍ジャパンの前投手コーチとして指導した権藤博氏も「菅野、大谷、それに藤浪。この3人は別格」と断言していた。周囲の注目や期待があまりに大きく、結果を出した時も出なかった時も大きく取り上げられるのが阪神の選手の宿命。少し不振が続くだけで周りは騒がしくなる。確かに現状はトンネルに入ってしまった感はあるが、あす12日の誕生日でまだ24歳。大谷同様、藤浪のキャリアもこれからなのだ。

 米国でも一気にスター街道に乗った二刀流と、日本で2戦未勝利と苦しんでいる剛腕。対照的な滑り出しとなった18年だが、今は藤浪がこの試練を乗り越えてくれるのを慌てずに待ちたい。初回から157キロを投げる投手など、彼らの他にいないのだから。(記者コラム・山添 晴治)

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