【石井一久氏クロスファイア】大谷先陣見て思い出したクラブハウスの“裏話”

[ 2018年4月11日 11:00 ]

エンゼルスタジアム
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 エンゼルスタジアムのトレードマークといえば、大谷が2号、3号を打ち込んだ中堅後方の巨大な岩のオブジェ「ロックパイル」だろう。自チームの選手が本塁打を放つと、噴水と花火が打ち上がる。05年までウォルト・ディズニー社が経営に携わっていたこともあり、遊び心満載の球場だ。

 僕はドジャース時代、この球場で試合前の楽しみがあった。ビジターのクラブハウスには、巨大なアーケードゲームの機械が置かれていた。1000種類以上のゲームのプログラムが入っており、選手は自由に遊ぶことができた。

 ある時、クラブハウスのマネジャーに「これ欲しいな〜」とポロッと言うと、すぐに業者に連絡してくれた。実はこれ、アーケードゲームのサンプル機。選手に買ってもらうために置いてあったのだ。メジャーのクラブハウスは、時には「セールスの場」と化すことがある。プライベートジェットのカタログが置いてあったり、車のディーラー、宝石業者、洋服屋さん…、いろいろな人が球団の許可を得て出入りし、選手にセールスする。

 アーケードゲームの値段は、1万ドル(約107万円)以上と記憶している。通訳が入り、業者と交渉すると、「石井のユニホームと交換でどうだ?」と言ってきた。その業者は熱狂的なMLBマニアで、僕はホーム用のユニホームと交換でアーケードゲーム機をゲット。数日後、ロサンゼルスの自宅に届けられた。

 試合前にゲームで遊んでいるのは、何も僕だけではない。卓球台やビリヤードが置いてある球場もあり、試合前は結構、みんなリラックスしている。でも、試合になると、一気に戦闘モードに変わる。そのスイッチを入れるのが、先発投手。球団によって多少違うが、メジャーでは初回の守りに就く時は投手が真っ先にベンチを飛び出す。大谷もそうだった。そこには「俺についてこい!」との意思が込められている。とにかく、オンとオフの切り替えが早いのが、メジャーリーガーだ。

 大谷のそんなシーンを見て昔のどうでもいいことを思い出した。ちなみに、アーケードゲーム機は最終的にオブジェになったのは言うまでもない。(スポニチ本紙評論家)

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2018年4月11日のニュース