阪神・秋山1失点力投で今季初白星 “2年目の壁”打破へ秘密兵器で手玉

[ 2018年4月8日 05:50 ]

セ・リーグ   阪神3―1中日 ( 2018年4月7日    京セラD )

打者を翻弄した秋山
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 右拳を突き上げ、阪神・秋山は、ほえた。1点を失い、なお2死満塁と最大のピンチを迎えた6回。外角低めに投じた144キロ直球で福田を空振り三振に斬ると、感情があふれ出た。

 「自分で招いたピンチだったんですけど、勝てば良かったんで(感情は)自然と出た」。1年前のあの日。毎日を生き延びることに必死だった男が、強く、たくましく成長を遂げた瞬間だった。昨季、チームトップの12勝をマークした男が、胸に刻む1試合がある。

 シーズン初先発となった昨年4月5日のヤクルト戦は、同じ京セラドームのマウンドだった。6回0/31失点の好投も勝利投手にはなれず、バトンを託した桑原に白星が付いた。心の底から喜びを分かち合える先輩だった。

 「前の年はずっとお互い2軍で投げていて、クワさんと開幕1軍に入った時に“とりあえず1カ月生き延びよう”と話してて。僕に勝ちは付かなかったですけど、クワさんが勝って本当にうれしかった。だから、昨年を振り返っても、勝った試合より、あの試合がやっぱり印象的なんです」

 1年後、同じ舞台でも立場は変わった。前日、セーフティースクイズ失敗で敗戦を喫したチームの重苦しい空気を断ちきる気迫のこもった投球で連敗を阻止した。「しっかり気持ちを出せた」。大黒柱としての自覚、風格が漂っていた。

 “2年目の壁”を打ち破るべく、着実に進化を遂げた。この日、直球の伸びを欠いた中で好投を呼び込んだのは、今季から新たに習得したパワーカーブ。「空振りを取れるカーブが投げたくて。回転数を上げようと思っていろいろ試した」と、握りを模索するうちに、人差し指を立てる今の握りに落ち着いた。

 「もっと長いイニングを投げたかったけど、とりあえずほっとしています。もっと信頼されるよう頑張っていきます」。一息つき、強い視線を次なるマウンドへ向けた。 (遠藤 礼)

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2018年4月8日のニュース